第958話 カルロ・ノーマック魔神化!?ヴァンドーム相変わらずの強者!
「ほぅ〜、わざと隙を見せたが、不意打ちする素振りすら見せなかったな。消し炭にしてやろうと思ったんだが」
ヴァンドームは、レオを運びながら隙を作り、ノーマックが襲ってくるのを今か今かと待っていた。だが、あの威勢とは裏腹にノーマックとカルロは慎重を期したのか、一向に襲ってくる気配を見せなかった。
「魔神様から貴方のことを聞いていなければ、ノーマックを止めることは出来なかったでしょう。元王族として、地獄の元大王様に敬意を持ってご挨拶申し上げます」
カルロは、王国にいた時のように頭を下げて優雅な挨拶を披露した。
「ならば、こちらもそれなりの対応をすべきだな。元大王として、出し惜しみ無く力を出し、お前らをあの世に送ってやろう」
ヴァンドームは、何かの魔物の皮で出来た真っ黒なロングコートを脱いで空中に放りなげた。すると、真っ黒な円形の何かが出現してロングコートは、真っ黒な円形に吸い込まれた。
「フフフ、完全な状態の魔神様の仇を私達で打てるとは嬉しい限りです。ノーマック、こちらも出し惜しみせず、初めからあれを飲みましょう」
「はい!待ち浴びておりました」
カルロとノーマックは、飴玉サイズの真っ黒な玉を取り出して口に含み飲み込んだ。すると、体から真っ黒なモヤがあふれだし、魔神のように一本の角が額から伸び、目も真っ黒になり、凶悪そうな見た目へと変貌した。
「待たせて申し訳ない。まだこの形態に慣れていないんだ。では、行くとしようか」
カルロは、力が湧いてくる高揚から本来の話し方に変わる。そして、言い終えるとノーマックと共にヴァンドームへ向かって走り出した。
「おもしろい!まずは、手始めにどこまで耐えきれるのか、確かめさせてもらおうか」
話し終えると、ヴァンドームはカルロとノーマックに向かって手をかざす。しかし、カルロとノーマックには何の変化もなく、そのままヴァンドームに突き進み、ヴァンドームの首に二人の蹴りが入る。
「なんだ?それが、お前らの限界か?がっかりだ」
ヴァンドームは、右にいたノーマックの足首を掴み、左にいたカルロの腹を蹴る。そして、足首を掴んでいたノーマックの頭に蹴を入れた。更に、手をかざした場所にいた道化師が順番に倒れていく。
「魔神共、地獄の力を模倣するとは、馬鹿にも程があるな」
道化師が、倒れていくさまを見ながら、地獄の力を模倣したことについて言及した。
ヴァンドームが、手をかざした瞬間に、道化師達へ地獄の力を流し、道化師に流れる模倣された偽地獄の力に干渉したのだ。その影響で、道化師達は事切れていった。
「クソ!化け物が!」
カルロは、へたり込みながら拳を地面に叩きつけて苛立ちをあらわにする。
「カルロ様、頂いた物を全て飲まなければ勝ち目がないように思います」
カルロとノーマックは、平然と話してはいるが、ヴァンドームの一蹴りでカルロは内臓に損傷を受け、ノーマックは頭蓋にヒビが入っていた。
「はぁはぁはぁ。ふぅ〜、まさかここまで力の差があるとは思いませんでしたよ。飲むしかありませんね」
カルロは、興奮を抑えるように息を吐いて、残っていた3つの飴玉のような物を口に含んで飲み込む。すると、先程とは比べ物にならないくらいに黒いモヤが体から溢れ出して肌は灰色となり、獣のような叫び声と唸り声を上げた。
「早々に殺すべきだな......チッ、遅かったか」
道化師に食らわせた攻撃と同じように、地獄の力をカルロとノーマックに流し込んだが、抵抗力が強く死に至らしめることが出来なかった。
「フフフ、素晴らしい!無限に力が溢れてきますよ。魔神こそ至高!この世を統べるに相応しい存在です」
カルロは、パワーアップを果たしたが、変化に伴い、常にドーパミンが脳から溢れ出しており、気分が高揚し続けていた。
「気分がいいところ悪いが、待ってやる余裕はないんでな。あっさり始末させてもらおう。地獄の棺」
ヴァンドームは、巨大なワインレッドの棺を出現させた。そして、その棺はカルロとノーマックに向かって独りでに動き出して、棺の真ん中に付いている大きな口を開いた。
「ノーマック、私達がどれほど強くなったか試しますよ。攻撃せず、罠に嵌りましょう」
「畏まりました。たしかに、この力がどれほどか試したくウズウズしております」
そう言うと、カルロとノーマックは棺の大きく開いた口に吸い込まれていくのだった。
チート薬学で成り上がり!! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました! 芽狐 @mekomeron
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