第935話 バリチェロ王とコルンの決断と戸惑う民衆!
神界で大きな激震が走っている頃、リグリス連邦でも大きな変化を迎えていた。
「皆の者、急に集まってもらってすまない。リグリスで何があったか全て話そうと思う。今から話すことは、とても重要なことである。もし、聞きに来れていない仲間がいれば、絶対に伝えてくれ」
バリチェロ王は、民衆を集めて演説を開始し始めた。バリチェロ王の横には、コルンとレオがいた。そして、警護をするようにノックスが後ろに立って周囲を警戒していた。
民達は、王が演説をするなど前代未聞であり何が起こるのかと、ざわつき始める。
「ワシが、民達に何かを話したことは今までなかった。このように、驚くのも無理はなかろう。だが、今はワシの言葉に耳を傾けては貰えんか?」
ざわつく民衆に対して怒ることはせず、同調するように話す。すると、民衆もバリチェロが真摯に向き合ってくれていると気付いたので、話すのをやめて真剣な顔で向き直った。
「うむ。お前達が、城にいる誰よりもワシの言葉を聞いてくれる者達だったとは......ワシも、今後は街に行きお前達と交流しなくてはならんな。おっと、話がそれてすまない!早速であるが、ワシは戴冠し、第三王子であるコルンに王位を譲るつもりである」
民衆は、バリチェロの言葉を聞くと驚きを通り越して口を半開きにさせたまま黙ってしまう。そして、バリチェロとコルンの温情で解放された第一王子と第二王子は、離れたところで見ていたのだが、衝撃的事実に立ち上がって壇上まで詰め寄ろってきた。
「おい!お前らは、大人しく見る約束だったろう?後ろにいるやつもそうだ!現王と次期王の温情で生かされていることを忘れたのか?」
ノックスは、王子と城で働いている貴族達を壇上に上げる前に仁王立ちで阻む。
「貴様!これは、リグリスの問題だ!他国の人間は黙っていろ!そこをどけ」
第一王子は、ノックスを睨みつけながら壇上に上がる階段を上り始める。
「バリチェロ王、こいつらを処理していいか?」
「うむ!他国の伯爵に頼むのは申し訳ないが、ここまで馬鹿息子達だとは思わなかった。すまんが、全員を牢に収監してくれんか?牢にいる兵には、ワシが渡した物を見せるといい」
「そうか!なら遠慮なくやらせてもらう。レオ、俺がいない間、警戒をしとけ!こいつらみたいな馬鹿がまだいるかも知れないからな」
民衆がいる前にも関わらず、バリチェロは大きな声で息子達や貴族を収監するように言った。民衆は、勿論驚きの声を上げるが、ノックスはお構いなしに第一王子と第二王子を軽く殴って気絶させる。その様子を見た貴族達は、すぐに手を上げて降伏の姿勢を見せた。
「お任せください。バリチェロ王の許しが出たので、地獄の力を使って警戒と制圧をします。ノックスさんは、牢に向かってください」
「こいつらを縛り上げたら、向かわせてもらう。あとは頼んだ」
ノックスは、事前にこうなることを予期していたのか、魔法鞄から縄を出し、第一王子と第二王子を縛り付けて、貴族達の両手も縛っていった。
「皆の者、恥ずかしい姿を見せてすまない!これが、今のリグリスの現状である。だが、ワシは民衆に嘘を付きたくないのだ。そして、この腐った現状を作り出したのは、紛れもなくワシの甘さである。この場を持って宣言する!腐敗したリグリスの現状を作り変えるつもりだ」
バリチェロ王は、民達に隠しながら平常を取り戻すこともできたのだが、コルンと話し合った結果、民あってこその国という結論に達して、全てを打ち明けた上で民衆の意を問おうとした。
「急なことで不安になる者も多いはずだ。しかし、民達と共に作り上げていかねば国は成り立たんと再度考えさせられた。そこでお前達に問う!ワシ達を信じてくれる者は、ここに残ってほしい!他国に行く者は、国が幾ばかの金を出そう。残るか去るか決めてくれんか?」
バリチェロの声を聞いた民達は、一瞬ざわつきはするが、先程のノックスに対する言葉を聞いたので、何かされるのではないかと、少し怯えた表情を浮かべながら立ち尽くす。
「うむ。決め兼ねておるようだな。ワシが、宣言しよう。お前達が、どのような決断をしようとも、ワシは一切咎めはせん!猶予は、1週間としよう。去る者は、城を訪ねるとよい!残る者は、1年税をなしとする」
バリチェロは、残る者にも魅力的な提案をする。だが、まだ不安を拭えない民達が多数いる。
「バリチェロ王、一つ発言してもよろしいでしょうか?」
少し高価な服を着た男が、勇気を出して手を挙げた。
「うむ!気になることは多いにあるであろう。勇気を出した君の言葉ならば、なんでも聞くとしよう。咎めることはない!なんでも言うといい」
バリチェロは、この日一番の笑顔を見せて優しい言葉で話しかけた。
「バリチェロ王!寛大な計らいに感謝します。まずは、どのように国を変えて行くのか?そして、残る者と去る者に対する政策が施行されるのか保証を頂けないでしょうか?民達は、本当にお咎めがないか不安がっております」
「うむ。怖がられておるのだな。ワシが、ここでお咎めがないと言っても信じては貰えんだろう。レオ王太子、すまんがお願い出来ないだろうか?」
バリチェロは、自分が行ってきた行動が、民達の信用を失わせたと思い、寂しい気持ちながらも変わらなくてはと考えた。そして、いきなり振られたレオは、自分ですかという顔でバリチェロを見るのだった。
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