第934話 神様が分裂!?助けを求めて!
創造神の話が終わって全員が解散し始めると、ヒルコとアリーシャは、挨拶をして足早に去った。
「お母さん、この扉の中に入ってください」
創造神達が見えなくなったところで、ヒルコは何も無い空間に手をかざして、なんの変哲もない扉を出現させた。そして、アリーシャは何を話したいかを理解しているので、何も言わずに扉を開けて中に入った。それに続いてヒルコが中に入ると、扉は静かに消える。
「いつの間に、こんなことできるようになったの?凄いじゃない!」
アリーシャは、創造神が作ったような空間をいとも簡単に作り出した息子を褒めちぎる。
「へへ、魔法神に色々教えてもらったんだよ。この空間は、創造神様ですら入ることも見ることも出来ないんだ」
ヒルコは、母親に褒められて嬉しさと得意気な表情をする。
ヒルコと魔法神が、何故繋がっていたかというと、魔法が苦手であったヒルコは、魔法神の下を訪れて魔法を習いたいと懇願した。そして、ヒルコを教えることを承諾した魔法神であったが、何故か遮断された空間を作り出すオリジナル魔法を必要以上にヒルコに教えたのだ。
「魔法神に!?大丈夫なの?あまり深くは聞かされてないけど、裏切って力を奪われた神様よね?」
ヒルコとアリーシャとイーリアは、魔法神達が何を起こしたか、深くは聞かされていない。
「あの出来事が起こる前だから何もされてないよ。でも、何故か必要以上に創造神様から逃れる遮断の魔法を教えてくれた気がする......今となってはわからないけど、利用されかけていたのかな?」
「何もされてないならいいんだけど......少しでも変な違和感があったりしたら教えてちょうだいね。私にとってあなたしか家族はいないのだから」
アリーシャの心配とは裏腹にヒルコは、あっけらかんとしていた。
「何かあるなら、創造神様がすぐに気付いてると思うから大丈夫だと思う。それより、リセットの話しをしなきゃ!お母さんは、創造神様の話しを聞いてどう思った?」
「そうねぇ......私は、創造神様が下界を良くしてくれると思っていたから、私とヒルコの存在が消えても仕方ないと思っていたの。でも、考えていたような結論にはならなかったわ。こんなことで、ヒルコを失いたくはないと思ってるわ。これが、正直な感想よ」
アリーシャは、総助と弦馬、そして今後厄災になりかねない者を消滅させるとばかり思っていたが、蓋を開けてみると、元人間であったアリーシャにとっては有り得ない思想を話されてしまい、その考えには勿論反対だが、一番はこんなことでヒルコを失いたくはないという考えに行き着いた。
「僕も同じだよ。創造神様に救われた恩を返したいのは勿論だけど、反したことはしたくない!それに巻き込まれるお母さんを見たくないよ」
ヒルコも元々は人間であったため、神様達とは考えが違うようだ。そして、二人共語りはしないものの本当は下界を救う計画だったとしてもお互いに消滅はしてほしくないと思っていた。
「ヒルコも同じ考えでよかったわ。でも、神になった私達じゃ創造神様には逆らえないのよね。どうしたらいいかわからないわ」
消されてしまうとわかっているので、下界に下りてアレク達に知らせることも反旗を翻して創造神達を止めることも出来ないアリーシャは、どうしたら良いのかと悩んでしまう。
「僕は、さっきまでお母さんと同じだった。でも、このまま黙って見てるだけじゃ駄目だって思ったんだ。だから、地獄の力を借りようと思ってるよ!」
ヒルコは以前、ヴァンドームと創造神が会っている時に姿を見たことがあったのだが、創造神にも勝るとも劣らない力を感じた。そのことを思い出して、力を借りることが出来ればどうにかなるかと考える。
「え!?地獄!?あ!そう言えば、さっき創造神様が、地獄って言ってたわ。もしかして、その話を出して協力してもらうつもり?」
「うん!だから、そのために地獄へ行こうと思うんだ。お母さんも一緒に来てくれないかな?もう、ここには戻ってこられないかもしれないけど......」
ヒルコは、創造神に対して恩を仇で返す形にはなるのだが、人間をリセットするという意味のわからないことには賛同出来ないので、ヴァンドームに、どうにか止めれないか相談しようと考えた。
「聞かなくても、私はいつでもヒルコの側にいるわ。それに、ここへ残っても、ヒルコのここばかり考えてしまうもの」
「僕も、お母さんとずっと一緒にいたいよ。今から準備するから行こう」
昔のヒルコであれば、弱々しく流れに身を任せる性格であったが、このような荒波の時代と神が大きく動かすのであれば、自分達も率先して動かなければならないと思っているのだった。
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