第908話 船を消し去る二人とルシファーとの再会!
アレクは、寝ているノックス達を起こして、ルシファーの残滓による影響だと伝えた。すると、ノックスは怒りをあらわにして壁に拳を叩きつける。
『タカハシ陛下、大変なことになりました。王国を陥れるために、大量の船が出港準備に入っております』
アレクが、みんなへ報告をしている時に、ジキタリスから新たな情報が舞い込んできた。
『え?あんな木造船で!?ルシファーは、何を考えてるんだろ?木造船がいくらいても勝てないのは明白なのに』
戦闘をしたルシファーであれば、王国の戦力を測ることが出来るにも関わらず、何故無謀な行動に出るのだろうと考えた。
『私にも、よく分かりませんが、今であればコルン第三王子を逃がすには持って来いです。どう致しますか?』
ノックスとデストロイに、兵をやられているのと、出港準備にリグリスにいる兵を総動員しているので、城が手薄な今がチャンスだと伝えた。
『俺達も、すぐにそっちへ転移して、攪乱作戦をするから、その間に救出を試みてほしい。合図は出すから、それまで待機していて』
『畏まりました。では、何か動きがあれば、その都度報告致します』
アレクは、ジキタリスの報告を受けて、早急に対応しなければいけないと感じ、仲間に状況を伝えた。そして、オレールの転移を使ってリグリス連邦に向かうのだった。
◆
アレク達は、元の姿に戻り手分けして行動をすることにした。オレールとデストロイは、上空に位置取り。ノックスとレオとアレクとジキタリスは、城へと向かった。
「アレクから、ド派手にかまして構わねぇとは言われたが、殺していいのか?」
「殺さずに無力化でしょう。デストロイの力なら容易いと思いますが?出来ませんか?」
オレールは、十八番である相手を挑発する言葉を言う。すると、デストロイは下を向いてブルブルと体を震わせながら次第に黒い何かが体から漏れ出した。
「出来ねぇわけねぇだろ!俺様を誰だと思ってやがんだ!破壊!見ろ!船だけ消してやったぞ」
「ちょ、デストロイ!合図する前に、何してるんですか!」
デストロイは、笑いながら次から次へと船を消し去って人を海に落としていく。しかも、甲胄を着ている兵士達は、甲胄の重たさで水中に沈んでいき、大変なことになっている。
『アレクくん、デストロイが合図なしに船を消し去りはじめました。救出可能なら初めてください』
『もぉ〜デストロイ何やってるんだよ。こっちは、もう少しで城だから着いたら始めるね』
魔道具の向こうから聞こえるアレクの声は、明らかに呆れている雰囲気を醸し出していた。
『では、私もド派手に船を壊していきますので、そちらは頼みましたよ』
オレールは、アレクとの通信を切ると、魔力ビームのような物を出して、船の甲板に穴を開けて水没させていくのだった。
◆
「デストロイが、すでに船を破壊し始めたらしいんだよね。俺達も、早く救出とルシファーの討伐に行こう」
アレク達は、城の前の小陰に隠れて侵入の機会を窺っていた。
「事前に話した通り、俺とジキタリスでコルンを救出ね。ノックスとレオでルシファーを討伐してください。じゃあ、行きますよ」
「任せておけ!次は、必ず息の根を止めてやる。だが、バルサークを生かしていかなきゃいけないんだろ?難しいな」
「僕に任せてください!地獄の力で逆に支配します。ノックスさん、行きましょう」
ルシファーを消し去るには、乗り移った人物も消滅させてしまうので、ノックスは懸念した。だが、レオには対策があるらしく、すぐに向かおうと言う。
「おう。行くぞ!アレク達は、俺達が掻き回してる間に、救出してこい」
「はい!師匠、よろしくお願いします。俺達は、密かに侵入して救出をします」
ノックスとレオは、小陰から堂々と出て、正面から向かう。そして、アレク達はノックスとレオが騒ぎを起こすタイミングを窺っている。
「バルサークを呼んでこい!ブチのめしてやる」
ノックスは、門で大声を出して兵士を集めようとする。すると、一瞬シーンと静まり返ったと思った瞬間、門が開いて兵士が数人やってきた。
「私を呼んでいるのは誰でしょうか?な、何故貴様が、ここにおるのだ!また我の邪魔をしようというのか!」
バルサークは、初めに出会った時と同じ優しい顔で近付いてきたのだが、ノックスの顔を見た瞬間に、口調も表情も変わった。
「おうおう!姿は変わっても、その傲慢さは変わらないな。また同じようにお前を滅ぼしてやる」
「クックック、諸国の代表も今頃は動きを見せているであろう。それに、船もじきに出港する。兵士も我の力で、強化された。多くの民の命を奪ってやろう」
ルシファーは、はじめからまともに戦うつもりはなく、民を巻き込んでぐちゃぐちゃにしてやろうという作戦のようだ。
「そんな大笑いしてるが、船は全部破壊されたと思うぞ!まだ報告を受けてないのか?それに、どれだけ兵が来ようと意味はないな」
船が破壊されている事実をまだ知らなかったルシファーは、苦虫を噛み潰した顔をして、横にいる兵士に状況を確認してくるように命令するのだった。
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