第113話 ルーヘン危うし...まさかの敗北?

セバスとNO.3が戦い始めた頃、ルーヘンとNO.5も動き始めた。


「俺達もそろそろ始めようぜ。空は飛ばないでやるからよ」


「アハハ。それは有り難いね」


ルーヘンは、自分より強そうな相手に嫌な役回りだなと思いながらも、どうにかしないとなと覚悟を決めるのであった。


幻影剣イリュージョンブレイドこいつからは逃げれねぇから諦めな騎士様」


無数の剣が、NO.5の空中に浮かんでおり、剣先がルーヘンの方を向いている。NO.5のスキルは無限に本物そっくりの剣を生み出す能力なのだ。


「これは厄介だね。僕も本気をだそうかな。剣術(A)と障壁」


一見、目立たないスキルだが、剣術に関してはEXの2つ下のAである。障壁も絶対障壁程ではないが、体の周囲を守るシールドを展開させることができる。


「すぐくたばらねぇようにな」


そう言った瞬間、無数の剣がルーヘンを襲う。ルーヘンは、凄い速度で剣を振るい全てを消滅させていく。だが、これ以上出されると限界を迎えることが目に見えているルーヘンは、相手を挑発して隙を伺う。


「僕の方が、早いし上のようだね。こんな遅い攻撃当たらないね」


「調子に乗んじゃねぇぞ。じゃあ見せてやるよ。俺の本気をな」


さっきの倍以上の剣が空中に浮かび上がり、ルーヘンに襲いかかる。ルーヘンは、剣をなぎ倒していくが次第に手に負えなくなる。だが、障壁に当たりNO.5の攻撃が届くことはない。


「やるじゃねぇか。じゃあこいつに耐えられるか見てやるよ。爆発エクスプロード


連続でルーヘンは爆発に巻き込まれるが、障壁で耐える。しかし、それだけでは終わらない。幻影剣イリュージョンブレイドも飛んでくるのだ。無数の剣をなんとか消滅させるが、連続する爆発エクスプロードで障壁が耐えきれず、まともに食らってしまい吹き飛ばされる。


「ぶっははは!よえ〜な。これで終わりだ」


横たわるルーヘンに近付いて腰にある剣を引き抜き、とどめを刺そうと剣を振り上げる。

そして、振り下ろす...が、腕で受け止めるルーヘン。


「アハハ。この時を待っていたよ。威圧」


威圧によってNO.5は、体が硬直したように動かなくなる。ルーヘンは、立ち上がり腕から剣を引き抜き、フラフラしながら近付く。そして、動けなくなったNO.5の胸に剣を突き立てて、そのままゆっくりと刺す。


「ぐふぉぐふっ」


痛みと苦痛はあるのだが、体は動かず口から血だけ吐いて、そのまま倒れる。

ルーヘンも、尻餅をついて息を切らす。フルプレートの鎧がボロボロになり、体は火傷で酷い状態だ。アイテムボックスからポーションを取り出して飲み干してその場で倒れる。


「ふぅ〜疲れた〜もうこんなこと二度とやりたくないよ「ぐほっぐふっ...死ね幻影...」来るのが遅いよ」


「ギリギリでしたね。大丈夫ですか?団長?」


NO.5が起き上がって最後の足掻きをしようとした所を、ヘリオスが後ろから首を刎ねて助けたのだ。


「疲れてもう死にそうだよ。ポーションを飲んだけど、もうこの体は戻りそうにないね。騎士団を引退してゆっくりかな?」


「こんな時に、何を言っているのですか!これを飲んでください。回復しますから。無理矢理にでも治して団長でいてもらいますからね」


ルーヘンにハイポーションを飲ませて回復をさせる。ルーヘンは、ハイポーションを全部部下に持たせていたので低品質のポーションしか持っておらず飲んでも回復しなかったのだ。


「あ〜あ、これでまた働かないといけなくなっちゃったよ。とりあえずセバスさんをってあそこに加勢するのは邪魔になるね」


ルーヘンとヘリオスの目の前では、今まで見たことがない程、激しい戦闘が起こっていた。それを見たら加勢なんかできるレベルではなく、乾いた笑いしか出ないのであった。




ヘリオスが門に向かった時間まで遡る。


「これはどういうことです...あなた達すぐに加勢してください」


門に駆けつける前に見たものは、市民を襲う市民の姿であった。だが、事前に避難準備や警備を増やしていたので、甚大な被害は出ていないようだ。しかし、市民と敵は、見た目で判断がつかないのでかなり苦労しているようだ。


「クソ!なんなんですか。取り押さえても次から次へと現れますよ」


ヘリオスは、この状況に困惑している。だが、すぐ切り替えて拡声器のように声を大きくする魔法で「副団長のヘリオスです。攻撃されたら斬ってかまいません。命令です」そう言って、早期鎮圧を目指す。


「副団長を殺して俺も幹部だぁぁぁぁぁ」


ドラソモローン・エミポグポロスの名無しの一人が、副団長の後ろから襲いかかる。だが、ヘリオスは簡単に避けて肩口から斬りつけて殺す。その後も、次々に襲ってくる相手を殺していく。冒険者も加勢してくれているので、すぐ鎮圧できそうである。


「お前らに神の裁きが下るだろう。ドラソモローン・エミポグポロスに永遠の忠誠を」


そう言うと爆発して自害する。あちこちで同じ現象が起きて、鎮圧に当たっていた騎士団や私兵や冒険者に被害は出るが、市民を巻き込むような最悪の事態は免れたようだ。


「ハァハァハァ...なんとかなりましたが...街は酷い状態ですね。それより早く団長のもとに行かないと」


鎮圧が完了したと思ったら屋敷の方で爆発音が聞こえて、ハイポーションを飲んでから全速力で団長のもとへ向かうのだった。

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