第293話 対策を相談
鳥頭三兄弟にはもう二人兄弟がいるそうです。うち一人がティカちゃんの上のお兄さんと婚約していたというお姉さんでルチルさんも仲が良かったそうです。もう一人が『水際の国』の酒場で女給として働いて三兄弟のティクサーへの旅費を工面してくれたそうですよ。上のお兄さんは戦闘力はなく、錬金術師だそうですが、つくれるのは基礎素材ばかりでお賃金が稼げない人だそうです。(ルチルさんが「こき使うワ!」と嬉しそうでした)下のお兄さんはティクサーについてまもないな頃、ごろつきの喧嘩に巻き込まれて負傷、治療費はなく、上のお兄さんもストレス性の熱病を抱え込んだのでしまったがゆえに睨んでくる鳥頭くんが大黒柱だったようです。それは意味なく睨みたくなるかもねと思ったネア・マーカスです。
うーん。ティカちゃんに助けを求めたくても私がいたから求め難かった? うん。そんなことは知らないし。
理解できるのと許せることは別なのです。感謝を示したくば、ルチルさん達の為に働くがいいのだよ。いいことした!
今、鳥頭三兄弟はルチルさんが錬金術師を目指したい子、もしくは新規で流れてきた錬金術師に当座提供する予定だった部屋で療養生活だそうです。末っ子鳥頭は日々の掃除と買い物メモの物を買いに行くオツトメ。それ以外は錬金術か魔道具造りの基礎を学ぶ時間とされているそうです。詰め込み授業っぽいですね。
「見積もり予算出したいのだけど、問題があってねぇ」
そう切り出すルチルさんが言うには。
迷宮で未だ金属素材がほぼ出ない。(クノシーには町フロアが有り魔核買い物が可能。ティクサー方面にはない)
外部に仕入れに行きたくとも人員不足の為、『石膏瓦解』にすら行けない。(葛と蔓薔薇のせいで道と宿泊場所が途中にない)
もうひとつの迷宮捜索の為、輸入物資がクノシーで止まる。
素材が近隣で入手できず、個人資材を使う場合、どうしても値段が跳ね上がってしまう。
の、四点でした。
『蒼鱗樹海』の二階層目に行けると洞窟ゾーンで採掘スポットもあるんですが、まだですもんねぇ。
近隣で素材確保が出来ない為、どうしても高額見積もりになってしまうそうですよ。
これは今荷物袋の中身を放出しても「一時しのぎ」と言われちゃう奴ですね。学都で迷宮でドロップ品収集はしてましたけどね。
「迷宮攻略を進めるか、岩山の国と取り引きを進めるかなんだけど、道がねぇ」
「道よねぇ。ツル植物なんとかしないと移動確保できないのよ。草刈り魔具作るにも金属がいるのに」
あ。詰んでる。
もう少し聞くと僅かに流通している金属素材は土建ギルドと鍛治ギルドに占有され気味だそうです。
「今回だけならドラゴン素材ガチ使いしてもいいんだけどねぇ」
「ふざけないでよ! これだから錬金術師は常識ハズレって言われるの! 地道にやってる魔道具師の立場がキツいじゃない!」
えーっと、ネアにもルチルさんの発言は問題あると思いますよね。
「ふざけてないわぁ。『火』属性の魔核でもあれば少しマシなんだけど、こっちも個人所有資材ばかりで、どっちの迷宮でもドロップしないのよねぇ」
火属性の魔核は冒険者ギルドで在庫があるかも知れないので聞いておいてね。とルチルさんにウィンクされましたよ。
「さて、少年。お小遣いは好きかい?」
魔道具ギルドマスターが弟君を何故か誘惑してますよ。
「これは無属性の魔核。ゴーストが落とす特殊な物でね。ここに君が火の魔力を注ぐことで火の魔核になるんだ」
売り込み方が危ない気がするんだけど?
「そこにコストかけると金額上がりませんか?」
「ドラゴン素材より安上がりよ」
あ。はい。それはそんな気がします。
あ。
「私の魔力は?」
なんで三人とも驚きの表情で私を見るんですかね!?
「うーん、魔核砕けそうかなぁーなんて、ね」
「ねぇ」
「姉さん、制御甘いでしょ」
弟君!?
私は、ネアはちゃんと、ちゃんと魔力制御しているのに!? 誤解ですよ?
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