第62話 新しい何かが開いた気がした
◆
初めは何を言っているのかさっぱり分からなかった。
確かに男性側が裸や下着を女性に見られるというのは少しばかり思うとことはあるだろうが、それは羞恥心では無く、防衛本能に近い何かとされるのが一般的であるため、私もニーナもクロードを襲わないという事をクロード本人が知っている現状では同じ空間で着替えたとしても、一般的には何もおかしな事ではない。
なので私はそのままクロードがいるこの部屋で着替えようとするのだが、なぜかクロードは顔を少し赤く染めながら私に『なんで同じ空間で着替えようとするのか』『異性がいる空間で着替えて恥ずかしくないのか?』と指摘してくるではないか。
はっきり言ってそれを言うのは本来であれば女性側の発言ではないのか? と思わず思ってしまう。
確かに数百年前では、女性は男性に下着を見られる事を恥ずかしがっており、着替える場所も男女で分かれていたという資料が残っているのも確かでる。
何なら男性の方が現代と違い女性と同じ空間で着替えても襲われる等という心配はしておらず、むしろ女性の方が男性と同じ空間で着替えた場合襲われる心配をしていた程らしい。
それは歴史的に見て過去はそうであったというだけであり、現代に関してははっきり言って真逆と言ってもいいだろう。
男性に下着姿を見られて恥ずかしいと思う女性は少なく、むしろ男性に自分の下着を見せつけたいとお思う女性のほうが多いほどであるし、男性は男性で下着姿を見られて襲われる心配をしている。 というのが現代の価値観である。
そんな事を思いながら『男性がいる前で着替えても恥ずかしくないのか?』と聞かれても私は恥ずかしくないし、どちらにせよここで一緒に着替えなくては授業に遅れてしまうため一緒に着替えざるを得ないことをクロードに伝え、クロードは少しだけ悩んだあと一緒に着替える事を了承してくれたので私はそのまま着替えていく。
そして、私が着替えるという事は当然クロードも着替えるというわけで、それが一体どういう事であるか私は失念していた。
私は恥ずかしくないし、クロードも一緒に着替えて良いというのであれば何ら問題はないと思っていたのだが、それはクロードが上半身の服を脱ぎ捨て筋肉質な裸体が顕になった瞬間、私はクロードの裸体に釘付けになってしまうではないか。
「お、おい……あんまりまじまじと見るなよ……? そんなに見られると恥ずかしいじゃないか」
そして私に見られて若干恥ずかしそうにするクロードの反応をみた瞬間、私の中の今までなかった新しい何かが開いた気がした。
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