現在の状況のどれを描写するか? についての自論【一人称視点編】
パターン1
「これ、おいしいね!」
冷えた炭酸水を一気に煽り、彼女は一言告げた。汗で濡れたシャツはベッタリと張り付き、実に扇情的だ。もうしばらくこの景色を堪能していたいが、惜しくも電車が来てしまった。
パターン2
「これ、おいしいね!」
ジュースを一気飲みし、彼女はこちらに笑顔を向けた。この状況で笑える能天気さに呆れると同時に、救われているのも確かだ。そして、無情にも電車が彼女を連れ去る時間が来た事を知らせる音が構内に響いた。
パターン3
「これ、おいしいね!」
場の空気にそぐわない明るい声は、こちらが悲しむ空気すらかき消すようで、できることならこのままでいたかったが、二人を別つ電車は既にトンネルの奥から小さな光をこちらに向けていた。
まあ、要するに地の文の単語一つ一つが出来事+主人公が
1:どこを中心に見ているのか
2:何に関心があるのか
3:それを見てどういう感想を抱く人物なのか
4:現状をどう捉え、問題に対し向き合おうとしているのか
5:他の登場人物との関係性、向けている感情
の描写の為に存在している。文章の半分が『主人公とはどういう人物なのか』の説明に(自動的に)なっている、という話。
〇〇が来た。△△まで行った。その後□□に会って話した。
>こんな小学生の感想文並の文章であっても、「主人公が何に注目するのか」「自分の意志で行く場所」「誰と仲がいいか」を示す結果になっている。
言い換えると
パターン4
「これ、おいしいね!」
そんな声を聞きながら、2010年から今もなお現役で走っている『あすかぜ101号』が緑と赤のストライプボディを揺らしてホームに入ってきた。
これを見た読者は
「へ~、作者って鉄道マニアか」
とは思わない。
「へ~、主人公って鉄道マニアか」
と思う。
書く際は場面毎に『上記1~5がどうなるか』を常に意識して、「じゃあ其れをどんな単語で描写すれば一番伝わるか」を考えよう(戒め)
ただ、それを一々全部描写していてはテンポが悪くなるし、読むのも苦痛。
全体の進行具合、現在の状況等から、優先順位を決めて少しずつ小出しにしていくのが無難かと(正解ではない)
起:場所、時間、配置物、登場人物、世界観の説明
承:主人公の現状、抱えている問題、起で起きた出来事に対する初動
転:起きた結果、変化に対する第一印象
結:これまでの出来事を振り返った感想。これからどうしていくつもりなのか
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