第210話

それにしてもチョコの注文は鳥獣人達を通じて出来るからとは言ったけど。早すぎでは?


それなりの量、置いて来たんだけど。


もう食べきったってことでしょ?

セラフィムさんもだけど食べ過ぎでしょ。

ほんと虫歯になるよ?あとは糖尿病とか。


そんな事を考えるより先にオウルさんに返事しなきゃか。

まじで死にそうな顔をしてるし。


「オウルさん心配しなくてもチョコは用意しますので安心してください。けど、加工に時間がかかるので2日程時間を頂いてもよろしいでしょうか?エレメンタルドラゴンにも俺が時間が欲しいと言ったと伝えて大丈夫なので」


チョコブリンは確保したけど。このまま渡したら、鳥獣人達はエレメンタルドラゴン様になんて物を!ってブチギレるだろうし。

一度溶かして板状にでも加工する必要があるだろう。


「その……エレメンタルドラゴン様を待たせるとなると長老達が面倒くさくて」


なるほど。エレ姉が一刻も早くチョコを用意しろ的な注文をしたんじゃなくて。

チョコが欲しいとエレ姉から聞いた浮遊大陸にいる鳥獣人達が少し暴走しちゃってる感じか。


まぁ、鳥獣人からしたら信仰対象だし。


そうなるのも仕方ないか。



「分かりました。ひとまず、今すぐ用意出来る分をお渡しします。纏まった数はその後に送るってことで。俺から直接エレメンタルドラゴンにもそう説明しておきますから安心してください」


鳥獣人達がエレ姉のことを神聖視しすぎて、エレ姉が無茶な要求してるようになっちゃってるよって伝えにいかないと。


そこまで無理を言う竜じゃないからね。

チョコを欲しいとは確かに言ったけど。

こんな即日は想定してない筈だ。


「えっと、そこまで大事にする必要は……」


「まぁ、正直言うとエレ姉はチョコが直ぐに届かなかった程度でそんなブチギレる竜じゃない筈なんですよ。って事を考えると誰かがエレ姉の名前を使って好き放題命令してるって訳だ」



エレ姉は浮遊大陸に住んでいるけど鳥獣人の前に姿を表すことは年に数回。

それ以外はお世話係を通じて言葉を伝えると聞いた。


そのお世話係がエレ姉の言葉を好き放題改変してる可能性が1番高いのかな。

で、そのお世話係は長老の仲間もしくは長老本人である可能性が高い。


自分のことを良いように使われているって言うのはエレ姉もいい気分では無いだろう。

いや、自分に危害が及ばないなら別に気にしない気もするけど……

まぁ、今回は話に行こう。


そう言えばオウルさんの前ではエレ姉呼びは控えておこうと思ってたのに途中からエレ姉って呼んじゃってたな。まぁ良いか。


「善は急げってことでエレ姉の寝床に転移しますよ。オウルさんも一緒に」


「ちょっと待ってくだ━━━━━」


オウルさんがなんか言おうとしたけど無視してエレ姉のところに転移する。


「おぉ、何気に竜の姿のエレ姉を初めて見た。超カッコイイ」


メタリックカラーで見る角度によって色が変化する西洋竜。

存在感が凄い。



「ヒロキに褒められるのは悪い気はしないな。それで今日は何をしに?鳥獣人まで一緒にいるし」


オウルさんはエレ姉を見て口をパクパクさせて震えている。


やっぱり直接連れてくるのはダメだったか。


とりあえず今回来た理由を説明する。


「なるほど。私はただ次の取引の時にチョコを注文しといて欲しいと言っただけなんだが、色々脚色されてそうだな。そこの鳥獣人。お前がその注文を受けたんだな?」


「ひゃっひゃい」


オウルさんが緊張しすぎて何言ってるかわからん。


「ふむ。これは一度話を聞きに行く必要が有るな。正直、私に実害が無いのなら好きにすればいいと思うが。知ってしまったからには対処しない訳にはいかない。第1ヒロキに迷惑かけるのは本意ではないし」


やっぱその程度の認識だったのね。

だからこそエレ姉の言葉をやりたい放題改変してるんだろうけど。


「私は少し鳥獣人の所に行ってくるからここで少し待っていてくれ」


そう言って寝床から出ていってしまった。


オウルさんがペタンと地面に座り込んでしまった。


「怖かった...ホントに死んだと思いました」


確かに初めて竜状態のエレ姉を見たらそう思うかもね。


「とりあえず。エレ姉が帰ってきた時の為にデザートの用意をしておくか」


チョコフォンデュとパンケーキを焼けばいいかな。


パンケーキ生地を用意しつつ牛乳を火にかける。


パンケーキ生地はプレーンとチョコ入り2種類作る。


牛乳が沸騰寸前になったら刻んだチョコを入れて混ぜる。


スキレット火にかけてにバターを一欠片落としてパンケーキ生地を流し込む。


「えーとなにか手伝えること有りますか?」


「じゃあ果物を1口サイズにカットして串にさしていってくれますか?」


オウルさんはなにかしていた方が色々考えずにすむと言った感じだったのでフルーツのカットを任せる。


チョコが完全に溶けて全体に混ざったので一旦ストレージに仕舞って、パンケーキを焼くことに集中する。


10分もせずにエレ姉が帰ってきたのでどうなったのか聞こうと思ったけど。

デザートを食べてからと言われたので、とりあえずエレ姉が満足するまでデザート作りをする事になった。



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読んで頂きありがとうございます。

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