第151話

「アレ?今日は受付にいるんですね?」


受付嬢さんにシエラさんに取り次いで貰おうと受付に向かうとギルドマスターのシエラさんが受付嬢をしていた。

俺が初めてあった時も受付嬢してたし趣味なのかな?


「報告だけじゃなくて自分の目で冒険者を見るのに受付嬢は最適なので定期的に受付嬢をしてるんです。ヒロキさん本日はどう言ったご要件で?」


有望そうな冒険者の発掘のためか確かに報告だけじゃ分からないこともありそうだけど。

他の受付嬢からしたら、ギルドマスターが隣で仕事してるって控えめに言って地獄だろうな。


「ほら約束してたでしょう?夢の世界に行ったから素材を売りに来たの。効果を説明すると大騒ぎになるだろうから出来れば他に人がいない所で説明したいんだけど」


人参果の効果を説明したらここにいる女性達が我を失って暴走するかもしれない。

これは言い過ぎかもしれないけど騒ぎになるのは確実なので、まずはシエラさんのみに効果の説明をしたい。


「わかりました。でしたらいつも通り私に執務室にしましょう」


シエラさんといつもの執務室に移動した。


「ヒロキさんの家に研究者や鑑定のスキルを持つ有名な人物が集まったと聞いていましたが。やっぱり例の睡眠薬の関係だったんですね?」


「そういうことです。あわよくば他の情報も手に入れようとおいたをした人物が数人不死鳥様の怒りをかって蒸発したりしましたけど」



シエラは比喩ではなく文字通り蒸発したんだろうなと思い苦笑いを浮かべる。


正直カエデの肩にとまってチュンチュン言ってる姿しか見たことがなかったので、神獣であることを忘れそうになってたけど。

やっぱり神獣なんだなと思い直した。



「不死鳥様のことはここまでにして、本題にいきましょう。とりあえず売るものをテーブルに並べますね」


テーブルの上に人参果を筆頭に夢の世界から持ち帰った素材を置いていく。


シエラさんは人参果の見てひえぇと可愛い悲鳴をあげていた。赤ん坊の姿をした謎の実とか不気味だよね。

でも効果を聞いた瞬間態度が180°変わるんだろうな。

家の女性陣はみんなそうだった。


「どれも見たこと無い素材ですね」


シエラさんは素材を手に持って回して全体を見たりしている。


「この素材は基本睡眠の質をあげたり、眠気を吹き飛ばしたり。睡眠に関係する効果を持った素材です。ちなみにその不気味な実は肌と血管の年齢が10歳若返るって言う効果があります」


人参果の効果を教えた瞬間視線が人参果に向かう。やっぱりそう言う反応になるのね。


「この人参果はギルドではなく私が個人的に買い取ります。10億マネーでどうでしょうか?」


寿命が延びる訳じゃないのにその値段で良いのだろうか?それにしてもギルドマスターってそんなに高給取りなのだろうか?

いや、高給取りなのは間違いないだろうけど、ギルドマスターの給料だけで10億をポンと出せるほど貯金できるとは思わないんだけど。


「シエラさんそんな大金ポンと用意できるんですか?」


「私、これでもギルドマスターになる前は高ランクの冒険者としてそれなりに有名だったんですよ?その時から貯金してるのでそれなりにお金は持ってるんです。もっとも今ほとんど消し飛びましたが…」


シエラさんって二十歳後半ぐらいのお姉さんって感じだけど。実は長命種?

見た目は普通の狼系の獣人だけど。

冒険者のときに寿命を延ばす系のアイテムを手に入れてしようした可能性もあるか。


「シエラさんがそれで良いなら売りますけど。良いんですか?今まで貯金してきたんでしょう?」


「問題ないです。冒険者として復帰してまたお金を貯めれば良いだけです」


それはそれで冒険者ギルドが大混乱に陥りそう。


シエラさんを引き止めるのは冒険者ギルドの職員に任せるとして話を進めよう。


「そこまで言うならシエラさんに売りますよ。ところでシエラさんなら独自で夢の世界から素材を持ち帰って来れる人材を集めていると思いますが調子はどうですか?」


「やっぱり収納系のスキルを持っている人材っていうのがネックですね。そう言うスキルを持ってる人は大体貴族に使えてますし。かなりの高給取りです」


収納系が使えるジョブの筆頭は空間魔法使いだろう。

異空間収納に転移まで使える空間魔法が使えるジョブだ。そんな人材貴族がほっておくわけないよね。


「やっぱりですか。ちなみにシエラさんの知り合いに闇魔法が使えるジョブについてる人いたりします?闇魔法使いなら転職先に収納系が使えるようになるジョブがあるんですよ?」


人参果はうちの女性人も欲しがるから、俺以外にも夢の世界に行って収穫してこれる人材が欲しい。

ジョブについて詳しく教える代わりに人参果を手に入れたらいくつかこちらに譲るって言う条件をのんでくれれば完璧だな。


「情報量として人参果を数個わけて貰うって言うのが理想なんですけど、どうです?」


「なるほど。そこまで言うってことは自信があるという事ですね。私の妻のひとりが初級闇使いなので、妻を紹介しようと思うんだけど良いですか?」


地味に結婚してるんだねシエラさん。

ギルドマスターだし、宝塚タイプって言えば良いのかな?イケメンな女性って感じの外見だし人気そうだとは思ってたけど。

シエラさんの身内なら裏切ることもないだろうしちょうど良いだろう。


またあした今度はその人も含めて会うことを約束して執務室を後にした。




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読んで頂きありがとうございます。




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