第138話

「それじゃあ、俺は念話が通じる場所ならどこに行ってても良い?」


「転移もあるし大丈夫だけど。どこに行くか場所は教えておいて欲しい」


思いつきで勝手にどっか行くのはやめてくれってことだね。


「ちょっと海に釣りに行こうかなってついでに薬の材料探しもしてくる」


人になるためのアイテム早めに作ってあげたいし。

必要な材料の1つが磯で手に入るから釣りをするついでに集めてしまおうという作戦だ。


「新鮮な海の魚は楽しみだ。基本干物だし」


「ヒロちゃん私、鮭が食べたい」


「シロナさん。南国っぽいプルーム沖周辺では鮭は釣れないと思います」


「ガーン」


なんだろう日に日にシロナさんが残念な感じになってる気がする。

この後少し談笑を続けたあとチョコブリンダンジョンがある孤島に転移した。


「まずは、潮だまりで薬の材料を探すか」


ズッコケないように注意しながらお目当ての素材になる生き物を探す。


「ん、マナマコ」


探してる薬の材料では無いけど。乾燥させると別の薬の材料になるし、刺身で食べることもできる。採って帰ろう。


「お、タコが隠れてるじゃん」


岩の隙間を覗いて見るとタコ足が見えた。

今夜はたこ焼きかな。タコ飯も美味しいよね。逃げられる前に妖術を使って凍らせた。


「ウツボもいるじゃん」


小骨が多いけど唐揚げが美味しいのでウツボも凍らせてストレージに収納。

妖術ほんとに便利だな。


「ウツボがいるってことは近くに伊勢海老がいるかも」


ウツボの好物の1つがタコ。


タコの好物の1つが伊勢海老。


それを理解しているのか伊勢海老はタコから身を守るため。ウツボは伊勢海老を食べに来たタコを食べるため。

伊勢海老とウツボは近くにいることがあるらしい。1種の共生ってやつなのかな?


「ほんとに近くにいるじゃんラッキー」


伊勢海老も無事発見して捕獲する。

ここは漁業権なんてないし取り放題だな。


「目的変わっちゃってるよ…」


本腰を入れて薬の材料探しを始める。

海藻が生い茂っている潮だまりを探して海藻をかき分けながらお目当ての生き物を探す。


「やっと見つけた。ミニチュアシーホース」


探していたのは大人になっても3cm程度しかないタツノオトシゴ。

これが魔物を人間に変化させるための素材の1つだ。

小さい上に数も多くないので探すのに手間取るかなって思ったけど1時間程度で見つけられた。


「とりあえず1匹有れば薬1本分にはなるからもう釣りを…あ〜念の為もう1匹捕まえとくか」


アイギスも将来使いたがる可能性あるかもと思いもう1匹探しとくかというわけでもう一度海藻をかき分けてミニチュアシーホースを探す作業を始める。


1匹目が比較的早く見つかったし2匹目もあっさり見つかるかなと思っていたけど。

全く見つからず、潮が満ちてきてしまいミニチュアシーホースの捕獲は断念した。


「そう甘くないか…この磯にもミニチュアシーホースがいること自体は確認できたんだし。転移でいつでも来れるし。ちょくちょく探しに来るしかないな。気を取り直して釣りをしよう」


まずはフジツボの身を餌にして穴釣りでカサゴやアイナメ、メバルなどの魚を狙う。


「なんと言うか想定外みたいな魚は釣れなかったね」


異世界な訳だし見たこともない魚が釣れたりするかなとかちょっと期待したけど。

日本でもよく釣れる根魚しか釣れなかった。

食べる分にはそっちの方が安心できるし良いんだけどね。



「次はルアーで青ものとかスズキ狙い釣り人は俺オンリーだし連れてくれるといいな〜」


日本にいる時にもルアーで釣りをしたことは何度もあるけど。そんなに上手い方ではなかった。

ダンジョンの池ではそうだったし、異世界海ならすれてないだろうし。

コンスタントに釣れないかなーとルアーを投げているが中々魚がヒットしない。

ルアーを変えたり巻く速度を変えたり工夫はしているけど。ダメみたいだ。


「穴釣りで釣れてるし坊主じゃないけど。ルアーでも釣りたいよね〜」


もうちょっとだけ粘ろうと思ってルアーを投げていると、突然釣り糸が引っ張られる。

これは青ものがヒットしたか?



それにしてもすごい力だ。

これかなり大物なんじゃないの?

このままじゃ釣り糸ができってバレちゃいそうだけどそれは悔しい。

ちょっと外道だけど。電気で弱らせるか。


「【雷撃】」

釣り糸に電気を纏わせて掛かっているであろう魚に電撃を食らわせる。


「魚じゃなくてサハギン!?」


すると三つ又の槍をもった半魚人の魔物サハギンが海面から飛び出してきた。


ヒットしたのは魚ではなくサハギンだったようだ。もしかして魚が釣れなかったのはサハギンのせいで魚が逃げちゃってたから?


「おっと危ない。【氷槍】」


サハギンが三つ又の槍を投げて来たので躱して、お返しに氷の槍をサハギン目掛けて飛ばす。氷の槍はサハギンの心臓を貫いた。


「はぁ〜サハギンが1匹な訳ないよね…」


サハギンは群れで活動する魔物だ。

サハギンがどんどん水面から顔をだす。

雷系で一掃出来ないこともないけど。

それをやると関係ない生き物まで殺してしまう。それは避けたいので1匹づつチマチマ倒していくしかない。

ため息をつきながら残りのサハギンとの戦闘を開始した。



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読んで頂きありがとうございます。











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