第67話

「魔物が現れただって?アスト周辺に大規模な魔物の群れなんか観測されてなかったはずだ」


どれぐらいの数がいるのか知らないけど大群と言うぐらいなんだからそれなりの数がいるんだろう。

その大群がこの街に襲撃をかける直前まで発見できなかったと言うのはおかしいよな。


「それがまるで転移して来たかのように突然現れたのです」


ってなると自然発生した魔物が集まり襲撃してきたのではなく、知性のある存在に仕組まれた襲撃ということか。


何個かこう言ったことを実施することができるようになってしまう道具、装備品に心あたりがある。


「ちなみに魔物の編成は?」


「様々なアンデットの混成部隊です。人間は勿論、ゴブリン、オーク、オーガ、タイタン、ワイバーン等の多種多様なゾンビとスケルトンが確認されています」


「死霊王の王笏を使った奴がいるな」


以前チョロっと上位アンデットであるリッチになってしまう代わりに魔力量が何倍にも膨れ上がる死霊王の王冠と言う装備の話をした記憶があるけど。死霊王と名のつく装備はそれ以外にも存在する。


それらの装備は死霊王シリーズと呼ばれていた。死霊王の王笏もそのひとつだ。

使うとリッチになってしまうのは王冠と同じだが、王笏は魔力量を増幅させるのでは無く、ただの死体をアンデットに作り替え使役する能力が備わっている。


リッチには使役したアンデットをどこからでも呼び出せるという能力もあるから。

この街の近くまでリッチが単体で接近。街の目の前で配下のアンデットをいっせいに呼び出したのが今回突然魔物の大群が現れたトリックだろう。


後、死霊王シリーズをすべで装備すると種族が最上位アンデット死霊王に進化するとかセット効果もあったりもしたはずだ。


もし、死霊王と戦うことになったら今の俺じゃどう足掻いても勝てないと思うので、相手が死霊王シリーズを揃えてないことを祈るばかりだ。



「まぁ、アンデットなら弱点が分かりきっていますし。余裕でしょう。それより俺が使う妖術のせいでパニックになる気がするのでそっちの対応をお願いして良いですか?」


チマチマ戦ってたら拉致があかないだろうし、気になってたアレを使おうと思うので確実に騒ぎになるはずだ。


「戦ってくれるのはありがたいけど。一体何をするつもりなんだ?」


「まぁちょっと神様に手伝って貰おうかと思って」


サテツにはこの家の守りをハンゾウたちにはちょっとしたお願いをしてアンデットの出現した位置に向かった。


「これは凄いな。ざっと10万はいるんじゃないか」


街街を囲む石の壁の上からアンデットの大群を眺める。

時間は既に夕暮れ、通常ならどんなに頑張っても今から夜になる前に討伐することは不可能だろう。

夜はアンデットの独壇場このままだと、この街は大きな被害を受けてしまうだろう。


この街の防衛戦力である街兵や冒険者は今俺もいる壁の上から遠距離攻撃で限界まで数を減らす作戦のようだ。


ちょうど良かったアンデットと近接戦している人がいたら巻き込んじゃうからね。


「『火之迦具土神』」


全魔力の9割を使って神霊を現世に召喚する妖術を行使する。

魔力を消費するだけじゃなく、この妖術を使った反動で喀血する。


「血、吐くことになるとは思わなかった。まぁ、現世に顕現できるまで力を封印しての召喚と言えど、神を召喚したんだ。むしろこれで済んで良かったと思うべきか」


幸い動くことは問題なさそうだ。ただ、神が顕現している間はほかの妖術が一切使えなくなる。

まぁ、俺が戦うことにはならないだろうけど。もし戦うことになったら雷魔法で戦うことになる。

妖術があるから後回しでいいやとか思わずLv10まであげといて良かった。


「そう言えば、火之迦具土神は?」


魔力を消費して喀血までしたけど、現れないんだけど?


そう思った瞬間、目の前に炎が発生し徐々に人の姿を象っていく。

そして身長3m程で真っ赤な大剣を持った火の巨人が現れた。



今回の召喚は最低限の魔力で行ったから3mしかないけど。

魔力を使えば使うほどデカくて本来の力を使える火之迦具土神が顕現する。


「久しぶりの現世だ。召喚者よ感謝するぞ。それで召喚者の望みはあの不浄なる者共の浄化か」


「はい。アンデットの浄化に火之迦具土神様のお力をお借りしたく」


「そう固くなることは無い。あの程度一瞬で浄化して見せよう」


目の前で浮遊していた火之迦具土神はアンデット達の目の前まで移動して地面に降り立ち大剣を地面に突き刺す。


すると、アンデットのいる場所に巨大な火柱が上がる。


火柱が消えるとアンデットは灰も残らず消滅していた。

アンデットだけを燃やす炎だったんだろう。あんなに派手な火柱だったのに辺りにアンデット以外で燃えたものは何ひとつもない。


「燃やしわけは俺が1番練習した技術だからな。不浄の者以外を燃やすミスなど絶対に犯さん」


小さくなってデフォルメ人形見たいな姿になった火之迦具土神が肩の上に現れた。


「帰らないんですか?」


「何を言っている久しぶりの現世だぞ。楽しんでからでないと帰らん」


火之迦具土神を顕現させてる間は妖術が使えなくなるから早く帰って欲しいんだけど。

相手は神様だし、仕方ねえ定期等に相手して早く満足して帰って貰おう。


さてと、ハンゾウたちに頼んだこの戦いを見張っているアンデット以外の敵勢力探し上手くいったかな?



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読んでいただきありがとうございます。



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