第66話


「ヒロキ様、どうか僕を弟子にしてください」


どうしてこうなった?


王族の方に挨拶をしに来たはずなんだけど。

王族の虎獣人の男の子に弟子にしてくれと土下座されている。


「ラインハルト殿下。いきなり過ぎてヒロキ様が混乱してしまっています。自己紹介すらすっ飛ばしてますよ?」


おそらくこの人がテイマーかな。獣耳の形状的に熊獣人だろうか。

殿下に対してそれでいいの?って感じもするけど。

俺が口を出すことじゃないだろう。


「そうでした!申し訳ございませんヒロキ様。僕はラインハルト・ヴォーカー。ヒロキ様のお話を聞いて僕も強い男になりたいと思い。お邪魔させて頂いてます」


王族なら家名は国名のリアウタンなんじゃ?って思ったけど。リアウタンは家名というより王だけが名乗るとかそんな感じかな。


それにしても、俺みたいに強くなりたいから

弟子にして欲しいか。

正直教えることなんて何も無いよね。

武術なんてできないし。魔力視を手に入れた今なら、効率的な魔力の動かし方を教えることぐらいはできるかな?

後はどの魔物がどのスキルの宝珠をドロップするのかとか。


「まずは、こちらからもご挨拶させて頂きますね?ランクⅢの冒険者ヒロキです。

よろしくお願いしますラインハルト殿下」


「そういえばミスリル鉱脈を見つけた功績でランクが上がるから冒険者ギルドに顔を出してってシエラが言ってたよ」


ランクってこんな簡単に上がっちゃうものなの?普通は簡単には上がらないんだろうな。

と言うか、ラインハルト殿下との会話にも躊躇なく割り込んで来るんですねカエデさん。


こんな事したら普通は無礼者!見たいな流れなんだろうけど。誰も何も言わない。


「分かりました。近いうちに顔を出します。それと、ラインハルト殿下弟子にして欲しいという事ですが。私は指導なんてしたこと有りませんよ?ちなみにどう強くなりたいんだすか?」


もしかしたらハーレムクエストの知識からアドバイス出来るかも?とどう強くなりたいのか質問してみる。


「ミルファのように強い魔物を従えるテイマーになりたいんです」


なるほどテイマーか。結構大変なんだよねテイマー。

まずは自分自身がテイムしたい魔物より強くなる必要があるし。


テイムするには基本、自分自身でテイムしたい魔物と戦って魔物を屈服させなきゃいけない。特殊なケースもあるけど。

サテツ達見たいなケースとか。

魔物が子供の時から餌付けして仲良くなってテイムするとか。


そういうのってそう簡単に起きるものじゃないから基本相手を屈服させる方法になる。


だから最初はテイマーとは関係ないスキルの取得から始めないといけない。

ワイバーンクラスをテイムしたいなら魔法で言うならLv5までは最低でも育てておきたい。


もしくは錬金術師の作る魔道具とかダンジョンでドロップした装備品を使って強さを底上げするとか。

この場合、ある程度強力な雷魔法のスクロールを渡せば何とかなるかも。


テイムスキルのスキルの宝珠をドロップする魔物も問題なんだよな。


幻術を使う魔物だったり、ほかの魔物に寄生して操って戦う魔物だったり。

ちょっと気持ち悪いし、対応を間違うと自分も操られちゃったりするからマジで厄介なんだよね。


その事をラインハルト殿下につつみ隠さずに伝える。



「なのでまずは、魔法使いとして強くなることを目指しましょう。ちょうど雷魔法Lv2のスキルの宝珠をドロップするバイコーンが一階層目から出現するダンジョンがある街にいる事ですし」


スクロールを使って倒すのも良いけど。

出来ることなら自分自身で魔法を使えるようになった方がいいだろう。

スクロールは使い捨てだしね。


「俺が余ってる。雷魔法Lv1と魔力操作Lv1のスキルの宝珠を持っているって言うのもあります」


「スキルの宝珠を売ってくれるんですか!?」


「まぁ、両方既に覚えてるスキルだし。俺からしたら使い道がないものだし」


王族ならスキルの宝珠ぐらいいくつか持ってそうなもんだけど。

そう言うわけじゃなさそう。

スキルの宝珠は男がトドメを刺さないとドロップしない。

貴重な男に魔物討伐をさせてもし死んだら大変だし。スキルの宝珠を集めることができないのか。


一般的なLv1のスキルの宝珠ならよっぽど事故らなきゃ戦って死ぬってことはないと思うけど。

よっぽどが起きた時に責任取れないもんな。

それに王族と仲良くしておいて悪いことはないだろう。


「母上と相談して宝物庫からお礼のものを用意するので、2つとも売ってもらえませんか?こんなチャンス二度と無いはずです」


王城の宝物庫か…なんか凄い掘り出し物があったりしそうだし、200SP消費するだけで貰えるとかラッキーだな。


スキルの宝珠をSPSPと交換してラインハルト殿下に渡そうとした瞬間、バン!と大きな音をたてて家のドアが開かれる。


「大変です!突然アストの外に魔物の大軍が現れました」


オイオイなんでそんなイベントばっかり起きるんだ?

なんか神様がイベントが起きるようにいじくったりしてる?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る