第50話
「無駄にない動きって感じだったね」
バイコーンとの戦闘が終わったのでパニーの所に向かう。
「まぁ毎日倒してますからね。バイコーンだったらこんなものよ」
体術も相当な腕前だ。体術スキルは体術が上手くなるスキルじゃなくて、パンチやキックのダメージを増やすスキルだからね。
あそこまで体術を使えるようになるには相当な訓練が必要だったはずだ。
俺も剣術をカエデさんに教えて貰い始めたけど全然で。
棒状のもので殴るだけでも、スキルの効果が発動してダメージを増やしてくれる棒術ぐらいしか使えそうにない。
棒術っていうとカンフー映画を思い出すけど。
この世界だと若干違う解釈になっている。
もちろん如意棒みたいな細長い棒を使う武術としての棒術も存在はするし、棒状の物を使うから、スキルの棒術でダメージの増加が適応される。
体術と同じで棒術をとっただけで武術としての棒術が使えるようになる訳じゃない。
道場に行って習って自分で覚える必要がある。
「今のでパニーの実力は見れたし。次のバイコーンからはカエデさんとパニーに魔法を使って倒してみよう」
2人にコバルトで出来たネックレスを一つづつ渡す。
そのまま渡すんじゃこの鈍感野郎とか言われそうなので、俺が直接ネックレスをつけてあげる。
「カエデさんに渡したのは風魔法Lv3が付与されてて、パニーの方は雷魔法Lv1が付与されてる。スクロールと同じで魔力操作なしで魔法が使える」
繰り返し何度でも使えるので、スクロールより高性能とも言える。入手難易度的にもコバルトの方が高いし。
間違ってはないだろう。
「じゃあ私は『ウィンド・アロー』『ウィンド・ランス』『エアーカーテン』パニーが『スパーク』の魔法を使えるようになったってこと?このネックレスしてるだけで!?」
コバルト装備を知らないんだから驚いて当然か。
パニーは驚きすぎて固まっている。
というか信じられないって感じかな?
そういえばコバルトについて詳しく説明するって言っておいて、結局説明できて無かったな。
まぁ、手を出しちゃったし2人ともコバルト製の装飾品をつけてもらおう。
まだ2人に最適な付与が集まってるわけじゃないけど。
つけないよりかは全然マシなはず。
コバルトについての詳しい話は帰ってからだな。
いや、今夜は領主様が来るんだっけか。
そうなると明日以降だな説明するのは。
「そこに生えてる木に向かって試しに魔法を撃ってみよう」
「昨日のスクロールを見たし。本当に使えるようになっちゃうんだろうね。『ウィンド・アロー』」
カエデさんの手のひらから緑色の矢が気に向かって飛んでいく。
木の幹に直撃して10センチほど突き刺さって緑色の矢が消える。
風だから見えにくいとかそんなことはなく、緑色に着色されているのでしっかりと視認できる。
「カエデさんが魔法を使えてる…ソードマスターのはずなのに。『スパーク』!」
パニーの手のひらから電撃が木に向かい木に直撃する。
電撃が当たったところは黒焦げになっている。
「ほんとに魔法使えちゃった…」
パニーは自分の手のひらと木の黒焦げになった部分を交互に何度も見ている。
「ってことで、今度は魔法で倒してね」
魔法を使ったので近くにいたバイコーンを刺激してしまったようでこちらに近づいて来るのが1頭存在する。
バイコーンは雷魔法を使うからパニーの魔法はそこまでダメージにならないだろうけど、
足止めをパニーがして、トドメをカエデさんが担当すれば2人の魔法だけで倒せるはず。
2人が魔法で魔物を倒すことで魔闘士、魔剣使いに転職できる可能性があるからね。
と言ってもパニーはまだ初級職だから転職して魔闘士になってもデメリットはないけど無いだろうけど。カエデさん的には魔法を使えるようにはなるけど。
純粋な剣士としての補助なら上位職のソードマスターの方が高いはずだから転職するかはカエデさん次第かな。
ソードマスターの更に上位職である剣聖を目指すのもありだと思うし。
魔剣使いと同じで剣聖の解放状況なんて知らないけど。
武闘家も1番上のジョブに拳聖ってのがあるからパニーにも最終的にはそれを目指して貰うのもありだな。
剣士系上から二番目のジョブソードマスターで世界最強クラスの強さなんだから。
拳聖まで目指す必要はないかもしれないけど。
ここまでしっかり説明してないから、2人はネックレスの性能実験に付き合ってるって思ってるのかもしれないけど。
襲いかかって来たバイコーンはパニーが足元にスパークを撃って動きが止まったタイミングでカエデさんがウィンド・ランスを使って胴体に深い傷をつけることに成功する。
貫通までは行かなかったようだ。
貫通させるには風魔法の威力をあげる装備が必要になる。
メインで魔法を使うわけじゃないしじゅうぶんだろう。
この世界では、錬金術師が収納袋。
俗に言う魔法のカバン、いっぱいものが入る袋を作れるので俺がいちいちストレージに収納しなくても、2人が収納袋に収納してくれる。カエデさんが袋の口をバイコーンに当てると、バイコーンの死体は収納袋の中に入っていった。
容量で値段が変わるのでパニーのはそんなにいっぱい入らないだろうけど。カエデさんのはそれなりに余裕が有るだろうし。
2人に収納袋に余裕がなくなったら。俺のストレージにしまえば良いだろう。
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