第48話
「カエデさ〜ん起きてください。もうそろそろ朝ごはんの時間ですよ」
起きてこないカエデさんを起こすために声をだしながらカエデさんの部屋のドアをノックする。
野宿しているときは普通に起きて来たんだけどな。
危険なんだから当然なのかもしれないけど。
「返事がない。直接起こしにいくしかないか」
ドアを開けて部屋の中に入る。
「ほら、カエデさん起きてください」
部屋に入ってカーテンを開けて、明るくして掛け布団を引っ剥がす。
「もう、そんな時間?」
もう起きてましたよと言わんばかりにサッと体を起こす。
「無防備に寝ている女性がいないのに襲わないなんて、ヒロキくん実は男が好きだったりする?」
「いやいや、俺は女性が好きですよ!」
「その割には私に襲いかかって来ないじゃん」
「いやいや、女性が好きだからってすぐに襲いかかる男とか嫌じゃない?」
そんな下半身直結男ではないぞ俺。
「この世界では人間以外の人種は子をのこすことが難しい。このまま手を出さないとカエデもパニーも離れていくことになるぞ」
種の本能として子孫を残すことは当然。
その難易度がバカ高いこの世界からしたら。
男のくせに手をださないなら一緒にはいられないと?
「不死鳥様の説明だけだと。誰でも良いと言っているように聞こえるけど。それは違うからね?そんなんだったらもう子供の1人や2人既にいるはずだし」
カエデさんって200歳超えてるらしいし、誰でもいいならもう誰かと結婚してるか…
「まぁ、昨日の宴会で1人酒を飲みまくってる間ヒロキとパニーは仲良く話してたぞ。カエデは捨てられるんじゃないか?って煽られて、焦っただけだ」
ジーッとカエデさんのことを見るとプイっと顔を逸らした。
「カエデさんのことを捨てたりとかしませんよ?」
正直、手をだすつもりなんてなかったんだけど。
仲間って感じだったし。
「じゃあ、言葉じゃなくて態度で示して」
これやっぱり手を出さないとカエデ離脱?
なんて余計なことしてくれるんだと不死鳥様の方を見る。
不死鳥様の顔にはそうは言ってもそう言うこと嫌いじゃないだろうと書いてある。
確かに嫌いな人なんていないだろうけど。
えーいままよ。
抱きしめてそのままベットに押し倒した。
〜数時間後〜
「朝ごはんができたから、起こしに言っただけなのにえらいお楽しみだったようですね?」
やる事やって下に降りると、不機嫌なパニーが待ち構えていた。
当然だけど、朝ごはんはパニーとサテツたちコボルトが全部食べてしまって無くなっていた。
「私は?」
もう、1回経験したらどうでも良くなってきた。我慢する必要なんてないよね?
パニーもカエデさんとシタなら私ともしなさいって感じだし。
MP交換で食べれるものとお酒をだしてカエデに渡してから、パニーをお姫様抱っこして2階に上がって行った。
〜更に数時間後〜
「今日朝からダンジョンに行く予定だったけど。もう昼過ぎちゃってる」
まぁ、後悔はしてない。
けど。いつ来るか分からないけど、イリスさんが後から合流した時にあまりにもダンジョンを進んでなかったら嫌味言われそうだからな。
いや必ず言われるはずだ。
まだ浅い階層だし今の時間からでも、階層を進めることも可能だろう。
パニーが転移魔法陣の場所を覚えてるみたいだし。
「今からでも5階層ぐらいまでなら今からでも余裕をもって行けるはず。昨日みたいに異常種とかがでなければだけど」
そういえば初めて入ったダンジョンで初っ端から異常種と遭遇するって中々の確率だよね。
「それじゃあ、昼ごはんを程々に食べたらダンジョンに行こうか」
昼ごはんを食べ終わったあと各々がダンジョンに向かう準備をしていると玄関の方からドアノッカーが叩かれる音が聞こえる。
来客らしい。
カエデさんの客か?
パニーもそれなりにこの街にいるけど、ダンジョンではソロだし、そこまで知り合いはいないって聞いてたし。
「良かったダンジョンには入っていないと聞いてたのでご在宅かなとは思っていましたが。いない可能性もありましたから」
「シエラさんじゃないですか。カエデさんに御用ですか?」
家を訪ねて来たのはシエラさんだった。
またダンジョンでなにか起きて解決してもらうためにカエデさんに話をしに来たとか?
「今日はヒロキさんにお話があって訪ねさせて貰ったんです」
俺?まぁ、ドアでずっと話しているのも失礼だし。まず中に入ってもらおう。
「昨日入居したばかりなので、ほぼ殺風景ですがどうぞ中にお入りください」
シエラさんをリビングに案内する。
飲み物どうしようか?
少し考えた後、ペットボトルのアイスティーを交換して、コップに移してからお茶菓子と一緒にテーブルに持っていく。
「これはご丁寧に」
ペットボトルのアイスティーだし、お茶菓子も安くて数が入っているラスクなのでそこそこ美味しいってぐらいだろうけど。
美味しそうに食べているので大丈夫そうだ。
「早速お話の方をさせて頂きたいんですけど。大丈夫ですか?」
「はい大丈夫ですよ」
そういうと、シエラさんがカバンから2枚の紙を取り出す。
どうやらレッサードラグーンと馬頭の売却額が書いてある紙みたいだ。領収書的な物かな?
「これは、例の魔物の売却額が書いてあるものになります。後で確認してください」
どうやら本題じゃ無さそうだ。
「それともう1つ領主様が会いたいみたいなんだけど。領主館にお呼ばれするつもりは無い?」
可能性はあるかな?って思ってたけど、やっぱりそうなるか…
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