第35話

「ほんとに女性しかいないな」


この世界は男女比が狂っていると言葉では聞いていたけど。

人が多い街に初めて来て、そのことを改めて実感させられた。

男と1度もすれ違わない。

おっきい街だから数人ぐらいはいると思ったんだけど。

人間の女が男を排除しているから。

神様から聞いている男女比よりさらに男の人数が減っているのか?


それにしても人類ってすごいなって改めて思った。

本来男女比が狂いすぎて人類は絶滅していてもおかしくなかった。

それを女性だけで子供を産めるようになる薬を作ることで解決しちゃうんだから。


「私から離れると街の女から攫われるから離れないようにね」


攫われそうになっても返り討ちにするつもりだけど、カエデさんと一緒に行動するだけで面倒事を回避できるなら一緒に行動した方が良いだろう。


別行動する理由もないしな。


「まずは、冒険者ギルドで良い?」


冒険者登録とお金を作るためにレッサードラグーンの鱗を幾つか売ろう。

冒険者ギルドなら魔物素材の買取をしているはずだ。



「それでお願いします」


街の大通りをカエデさんの後ろについて歩く。


俺のイメージする。貴族の屋敷っぽい建物の前で止まる。


「えっと冒険者ギルドに行くんじゃないんですか?」


「ここが冒険者ギルドだよ。まぁここは冒険者登録だったり冒険者ギルドの事務仕事をメインでしている建物だけどね」


冒険者が依頼を受注したり、素材を売ったりする建物はこの街の出入口の近くにあるらしい。


なるほどと納得した。


それならここでは騒ぎは起こらなそうだな。

と少し安心して建物の中に入った。


建物の中は役所のようになっていて上に冒険者登録って看板がある受付に向かう。


「受付にシエラがいるじゃん。ちょうどいいや」


どうやら、受付にカエデさんの知り合いがいたらしい。

カエデさんの後をついてカエデさんの受付嬢さんのところに向かう。


「久しぶりシエラ。今日は彼の冒険者登録でここに来たの」


「お久しぶりです。カエデ様。彼の冒険者登録ですか?…なるほどテイマーですね。コボルトとコボルトの変異種ですか?中々強そうですね。畏まりました冒険者登録に必要な手続きを始めさせて頂きます」


男性が冒険者登録って大丈夫ですか?って登録を渋られるかなって思ってたけど。

サテツ達を連れているからテイマーだろうと納得してくれた。

サテツの見た目はガチムチワーウルフだからな。

強そうだし冒険者もやって行けると判断されたみたいだ。


カエデさんのジョブはソードマスターって言う剣術系のスキルを取得できる職業の上位職だからテイムスキルなんて覚えられないからね。

ここに魔物を従魔にしているのは俺だと判断されたわけだ。


「まぁ、ヒロキ君はテイマーとしても優秀だろうけど。メインは魔法使いだよ。男はジョブに縛られないからね。スキルの宝珠を手に入れればどんなスキルだって習得できる。

ヒロキ君は10数年間魔物の生息域で暮らしながらスキルの宝珠を集めて回っていた。

様々なスキルを高水準で使いこなせるよ」


なんか勝手に今までどうやって暮らしてたのか決められてしまったけど。

まぁ、その設定が妥当だろうとも思うし特に突っ込んだりしない。


「なるほど。では、ジョブを魔法使いとして登録しておきます。後ほど魔法を使えるところを実演させて頂くことになりますがよろしいですか?」


嘘だった場合すぐにバレますよ?ってことか。

まぁ、魔法じゃなくて妖術だけど。逆に、すいません嘘ついてました。本当は魔法使いじゃなくて妖術使いですって言った方が混乱するだろうし。

妖術を見ても魔法って判断するだろう。


「問題ないです。魔法使いでお願いします」


「畏まりました少々お待ちください」


そう言って受付嬢さんは裏に下がって行った。


特にやる事もないし受付嬢さんが帰ってくるまで大人しく待つ。

受付嬢さんはすぐに紙とキャッシュカードサイズの黒い金属で出来たカードを持って帰って来た。


「お待たせしました。まずはこちらの書類に記入をお願いします。色々項目はありますが名前以外の記入は任意で構いません」


渡された紙には名前、年齢、出身、ジョブetc.....


確かに記入事項が割と多い。

最低限名前だけ書けばいいみたいだけど。

名前とジョブだけ書いておいた。


「名前はヒロキさん。ジョブは魔法使いとテイマーですね。それではこの吸魔鉱石のプレートに魔力を流してください」


吸魔鉱石って鉱石を使ってるのね。

それもハーレムクエストには存在しなかった鉱石だね。


カードを受け取り魔力を流すと。

黒1色だったカードが虹色に変化した。


「ありがとうございます。コレでヒロキさんが最低限『魔力操作』を取得していることが証明されましたね。それにしても虹色なんて初めて見ました。一度返してもらって良いですか?ヒロキ様の名前を刻んで来ますので」


言われた通り吸魔鉱石のプレートを受付嬢さんに渡す。

タイプライターのような機械にプレートを設置して、操作を始めた。


「出来ました。名前を刻むだけなので一瞬ですね。コレがヒロキさんの冒険者証になります。無くさないようにしてくださいね?」


次は実際に魔法を使って貰います。という事なので、魔法を当てる的があると言う部屋に移動することになった。



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読んでいただきありがとうございます。

m(_ _)m










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