第31話
「試合ですか……お互い致命傷になるような攻撃はなしですよね?」
しあいのイントネーションが違った気がしたのもう一度確認の意味を込めてカエデさんに話しかける。
「は?死合いだぞ?殺す気でやらなくてどうする」
うーんこの戦闘狂。
まぁ不死鳥様のスキルがあるからかもしれないけど。
不死鳥様の試練をクリアすることによって貰えるスキルは『 再生の炎』
効果は魔力が尽きるまではどんな怪我、状態異常を回復させる。
単純だけどそれだけに強力なスキルだ。
鬼人族は種族特性で筋力がほかの種族より高い代わりに魔力は低めなはず。
だから、長時間再生の炎を発動し続けることは無理なはずだ。
……と言っても、
「ちなみにカエデさんは鬼神変化使えたりします」
「へえー。種族スキルについても知ってるんだ。当然使えるけど?」
やっぱりか。神獣の試練をクリアしてるんだから転生10回ぐらい余裕でしてるよなとは思ってたんだ。
ステータス差ヤバいだろ。
その状態で殺し合いって絶対無理だろ。
転生10回もしてたらいくら種族特性で魔力が少なくても、それなりの魔力量があるだろうから、相手の魔力切れなんて狙えない。
因みに鬼神変化は使用すると使用中魔力を消費することで身体能力を飛躍的に上昇させるスキルだ。
更に魔力消費を加速させることにはなるけど。既に推定で倍以上のステータス差があるのに、更にステータスを上昇させられたら一瞬で殺られちゃうよ。
「俺とカエデさんではステータス差があり過ぎです。俺はまだ3回しか転生してません」
「それぐらいなら大丈夫だ。寧ろ差が無い方だしな。基本デコピンで死ぬようなステータス差があるし」
現時点でのキャラLvは高くないとは思っているけど低くもないと思っている。
ステータス差が酷いと思ってたけど、周りと比べたらマシって……
正直カエデさんが俺の事を逃がしてくれる気がしない。
「はぁ、1回だけです。良いですか?あと戦闘開始位置は両者200m以上離れた場所で、それで良いですか?」
少しでも有利な状況で戦えるようにしないと
「まぁ、それぐらいなら良いよ」
それじゃあすぐに試合を始めようとカエデさんが言い出すので、所定の位置に移動する。
審判は不死鳥様がしてくれるらしい。
「それでは始め!」
「『 鬼神変化』」
試合が始まると同時に切り札のはずの鬼神変化を使用する。
カエデさんの周りに赤色のオーラが可視化される。
「『 影縫い』」
1秒でもカエデさんを拘束出来ればと影縫いを使う。
影で出来たロープがカエデさんを拘束するけど一瞬速度が落ちただけでロープをちぎられてしまった。
「クッソ『 火砲10式』!」
魔法はLv10まで上げると自分でオリジナルの魔法が作れるようになる。
まぁゲームだとオリジナル魔法作成と言うよりかは既存の魔法の速度とか威力とか消費魔力をバランスを変えて調整できるぐらいで、
魔法の調整機能って感じだったけど。
でもリアルなら本当にオリジナル魔法を作れるのでは?さらに言うと妖術もオリジナル妖術を作成できるのでは?と火砲を一度に10発撃てるイメージで妖術を使ってみたけど上手くいった。
カエデさんは後退して火砲を回避する。
俺とカエデさんの間で火砲10発分の爆発が起きたせいで爆煙でカエデさんを視認できない。
これならカエデさんにバレないように細工ができるな。
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ーカエデsideー
「思ったよりすごい威力だ」
再生の炎があるから被弾しても死ぬことは無いけど、再生するのには魔力を消費してしまう。
10回も転生しているおかげで鬼人族にしては魔力量は多いいけど。
あくまで鬼人族の中ではだ。
正直魔力量のみならヒロキ君の方が既に高いだろう。
「『花吹雪』」
なんで花びら?と思うがすぐに迎撃するために大剣を持つ腕に力を入れる。
「おらぁー」
技術など考えずに力任せに大剣を振るう。
常人には見えない速度で振るわれた大剣は斬撃を飛ばして、ヒロキが発動させた花吹雪と衝突する。
斬撃と衝突した事で花びらは幾つか消滅したけど、ヒロキが作り出した花びらは数が多いい。
幾つか花びらがこちらに向かってくる。
残りの花びらは前進して避ける。
このままヒロキ君との距離を詰めようと走り続けていると、後ろから激痛が走る。
「なっ!後ろから!」
花吹雪が追尾性能があることを知らなかった為もろに被弾してしまう。
花びらに貫かれたことで腹部がズタズタになってしまうが身体の内側から炎が溢れ出して傷が瞬時に塞がっていく。
「こうじゃなくちゃ!」
この世界で自分にダメージを与えられる人類なんて片手で数えるぐらいしか存在しない。
久しぶりにまともな戦闘が出来る相手が現れた事にツイツイ楽しくなってしまう。
「貰った!」
ヒロキは妖術を使って距離を縮められないように攻撃していたが、カエデは攻撃を上手く迎撃するなり避けるなりして少しづつ距離を
縮めてついに大剣で首を切り落とす。
「あっ!」
楽しすぎてツイツイ寸止めするのを忘れてしまった。
いつもならまぁいっかで終わらせるけど。
今回は神獣九尾の狐様のお気に入りどころか
惚れている相手だ。
そんな相手を殺したとバレたら?
確実に私も殺させる……。
楽に死ねる方が楽か?
そんな感じでパニクっていると突然首にロングソードを突きつけられる。
「再生の炎が有るから首を切り落とした程度じゃ死なないのは理解してますけど。これで降参してくれると助かります」
いつの間にかヒロキ君の死体が消えて、ヒロキ君に後ろから首に剣を突きつけられていた。
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