第28話
「早く逃げないと!あいつらが」
首輪をつけた男の子は焦ったように俺に逃げろとまくし立てる。
男の子のボロボロな服装、そして1番目立つ首輪この子は奴隷か?
男の地位がクソほど低いって言うのは本当らしい。
まだ1人しか遭遇してないしそう言う訳じゃ無いかもしれないけど。
神様がそんな感じのことを言ってたし男はこんな感じで人として扱われていないということだろう。
「逃げろって何から?それと何処から?」
俺が思いつく可能性としては、もの凄く強い魔物が現れて、この子の飼い主が逃げるために囮にしたとか?
「何で立ち止まってるんだよ。逃げてくれなきゃ…増えてるじゃないか」
そう言いながら4人1組の女性達が現れる。
うーん俺が考えてる状況とちょっと違うかもしれない。
「少しづつ痛めつけるのを楽しんで殺すつもりだったけど。まぁ、数が増えたし、それで我慢しよう」
想像以上にヤバいやつみたいだな。
俺を含め男のことを人だと思って無いみたいだな。
少なくとも4人の内3人がそう言っているのは確実。
1人は何考えてるか分からないな。
「君が逃げてって言ってる連中はアレであってる?」
念の為確認をしておく。
「なんでそんなに冷静なんですか!殺されちゃうんですよ?」
何をそんなに怖がってるんだろうって思ったけど。
この子はスキルを何も取得できてないんだろう。
男は1つのスキルを覚えるために何百体も同じ魔物を倒さなきゃ行けないし。
スキルを制限なく取得することはできるけどスキルを取得するのが大変なんだよね。
「だって、あんなのに殺されるつもりなんて無いし?サテツその子のこと保護しといて」
「かしこまりました」
サテツたちは魔物だからチュートリアルの森から連れ出せないかもしれない可能性もあったけどしっかり連れて来れてよかった。
ダメだったら九尾の狐様経由で神様に文句言ってサテツ達をチュートリアルの森から連れ出すつもりだったから。
これでお別れにするつもりはなかった。
「一応、敵対しないでいなくなるなら。見逃してあげるけど?」
流石に勧告もなしに攻撃するのは気が引けるから敵対しないなら攻撃しないよ?と勧告する。
「は、何を馬鹿なことを。男如きに私が殺せる訳ないだろう!」
剣を引き抜き構えこちらに向かってくる。
「『火槍』」
こちらに向かってくる女に向かって妖術を打ち込む。
女の腹部に命中して綺麗な穴をあける。
「な、何を……」
女は驚いた顔をしながら地面に倒れ落ちる。
とりあえず今殺した女と同じく男をゴミとでも思っている2人も殺しておく。
残りのひとりは……ほかの3人と比べて男に対して悪い感情を持っていなさそうなので拘束程度で留めておく。
「『氷槍』『火槍』『影縫い』これでお終い」
それにしても仲間を殺されたのに大した反応をしないな。
「待ってください!イリスさんは影で僕のことを助けてくれた人なんです」
女に追われていた男の子がそう言って慌てて妖術で拘束している女性イリスって呼ばれてたな。イリスと俺の間に立った。
「その女性を殺さないで欲しいと?
でもな〜、俺はその女性の仲間を殺してるし。恨まれて命を狙われるとか考えるとここで消しておくのが1番なんだけど」
「ヒロキ様その心配は無いかと。彼女はエルフです。その方はこの男の子を保護する為に仲間として潜入していただけかと」
どうしてエルフだとそう言う判断になるんだ?
サテツがわざわざ嘘をつくとは思っていないけど。理由が分からない正直に聞いて見るか。
「なんでエルフだと大丈夫なの?」
「そうでしたね。簡単に説明させていただきますと。女性同士で子をなせるようになる薬の効果があるのは人類の中でも人間だけです」
ふたなりになる魔法薬を作ったのは人間の魔女で効果が有るのも人間だけだそうだ。
となると人間以外からは男性は手厚く扱われているという事か。
人間が男をゴミのように扱うのはほかの人類が力をつけないようにする意図も有るのかもな。
「なるほど。そうしたらイリスさんで良いのかな?解放してあげる代わりにお願いが有るんだけど」
「何が望み?」
少し警戒されちゃったかな?まぁ、この状態にした男のお願いなんてろくな事じゃ無いだろうからな。
「まぁ、そんなに警戒する必要ないと思うよ。人間以外が治める国に案内して欲しい。どうやら男は想像以上に冷遇されてるみたいだからね。人間には」
ディアランドの地理なんて分からないからとりあえず地理に詳しそうな人に案内してもらう必要がある。
「その程度で良いならいくらでも。何なら皇女に紹介することもできるけど?」
そこまでは必要ないな。
「そこまでは必要ない。国に案内してくれるだけで良い」
「そう…わかった」
「それじゃ契約成立だ。俺の名前はヒロキよろしく」
「イリス。よろしく」
影縫いを解除してイリスさんに
と握手するために右手を差し出す。
イリスさんも左手をだして来て握手をした。
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読んでいただきありがとうございます。
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