第176話万葉集講義を前にして
興味あふれるお昼の後は、少しブラブラとあたりを散歩。(えへへ、祐君独占の幸せを満喫しとります)(うらやましい?でも、しかたないことですって、祐君は、うちのもんやから)
などなど・・・まあ・・・恥ずかしくらいに顔を赤くして歩いていた私、純子に、祐君が、おもむろ、たどたどしく話しかけて来た。
「あのね、純子さん」(特に難しい話では、ないみたいや、いつものお人形顔やから)
「うん」私は、祐君に身体を寄せた。(そうそう、胸からあてるのが、流儀や)
祐君
「3時からの万葉集の先生、僕知っています」(・・・お母様の彰子先生つながりかな?)
「それはそれは・・・」(でも、無難な返事をするのが、謙虚な私なのだ)
祐君
「佐々木さん・・・40代後半かなあ、もう」
「母のゼミ、教え子で、静岡の実家とか、伊東の別荘にも来ました」(ほー・・・では、親しいと・・・)
「それは、懐かしいね」
祐君
「講義が終わったら、挨拶してもいいですか?」(・・・そんなこと聞かんでも、祐君も謙虚な子や)
「うん、一緒に行こう」(彼女と、印象付けねばと・・・気合入るよ)
さて、そんな仲良し二人が、万葉集講座の教室に入ると、田中朱里が、待ち構えていた。
午前中の「やや派手めな服」とは異なり、セーターにジーンズ、上にカーディガンというカジュアルに着替えている。
そして、恥ずかしそうな顔で、祐と私、純子の前に。
「祐君、午前中は、ごめんなさい」(・・・この恥ずかしそうな顔も、メチャきれい・・・危険な女や・・・はよ、遠ざけんと)
祐君は「はぁ・・・」と、少し頭を下げる。(また、塩対応?と不安を感じる)
田中朱里
「お隣・・・いいかな?」(着替えまでして、それが目的?危険だ・・・こいつ!)
祐君は、表情を変えない。
「まあ・・自由席なので」(塩対応・・・女の子は、それだから追いたくなるのに)
その祐君の表情が変わったのは、講義資料を目にした時だった。(これは、私が田中朱里に先を越されてしまった)
祐君は田中朱里から渡された講義資料をじっと見る。
そして、つぶやいた。
「マジ?佐々木さん・・・」(とにかく、困ったような顔になっているのだ)
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