第12話
文さん
僕も雪が見たくなって故郷に帰っていました。
どれくらいぶりだろう。
道をすっかり忘れていて迷子になりました。
文さんが書いてくれた光景と同じで、真っ白でした。
雪の静けさは海の中と似ています。
文さんの故郷はどんな所ですか?
手紙は残って良いですね。
良いけど、読み返されていると思うと、なんだか面映ゆい。
初めて手紙を出した時、あんな風に手紙と出会って興奮した事を思い出しました。
名前すら書き忘れるほどに。
宙
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