第61話 ひきょうなコウモリ
元祖特撮ヒーロー『仮面ライダー』の第二話に登場する怪人は、「コウモリ男」といいます。その名の通り、夜になると空を飛ぶコウモリをモチーフに改造された人造人間です。コウモリが怪人に選ばれたのは、不気味で禍々しいイメージがあったからでしょうね。
わたしは、じぶんのことを「コウモリ男」のようだなと感じることがあります。
イソップの寓話集のなかに「ひきょうな蝙蝠」というお話があるのを知っていますか? あらすじをWikipediaから抜粋してみるとこんな感じです。
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『昔、地上の動物達は皆仲良しだったが、ある時から獣と鳥に分かれ、どちらが強いかで戦争になった。身体が小さい鳥はいつも劣勢で、その様子を見ていたずる賢い一羽のコウモリは、鳥の仲間でありながら、獣が有利になると獣たちの前に姿を現し、「私は全身に毛が生えているから、獣の仲間です」と言った。そして、鳥が有利になると鳥たちの前に姿を現し、「私は羽があるから、鳥の仲間です」と言った。
『その後、鳥と獣が和睦し戦争が終結する日がやってくる。しかし幾度もの背信行為を重ね、双方にいい顔をしたコウモリは、「お前のような卑怯者は二度と出てくるな」と皆に嫌われ仲間はずれにされてしまう。居場所のなくなったコウモリは、やがて暗い洞窟の中へ身を潜め、皆が寝静まった夜だけ飛ぶようになった。』
(丸々Wikipediaから貼り付けました。いつもお世話になっています!)
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わたしは、このお話を「相反する勢力、どちらにもいい顔をしていると信用されず、どちらからも嫌われてしまう。味方を得るためには、旗幟を鮮明にした方が良い」という風に理解していますが……、わたし自身は実生活の色々な場面で、旗幟を鮮明にするというよりは、どっちつかずの態度をとることが多いんですよね。
なんだってそうなんですが、特に小説を書いているとよくこの「コウモリ」のことを考えます。じぶんの書くものがどこにも属していないように感じるからです。ラノベやライト文芸を書いているとは思いませんし、かといって一般文芸ではなくもちろん文学でもない。SFとは呼びにくいけれど、ロボットが出てきて、未来の宇宙が舞台だったりするのです。どうにもつかみどころがない。読んでいただけた人には分かってもらえると思うのですが……。
いまは、わかりやすい物語が求められている時代なのに、なんだか分かりにくい小説を書いてみたり。「けもの」でなければ「鳥」でもない(エンタメでなければ文学でもない、ラノベでなければ一般文芸でもない、SFでなければファンタジーでもない)、しいていうならどちらの特徴も併せ持つ「コウモリ」だろうかという小説ばかり書いている気がします。そうすると、結局「けもの」からも「鳥」からも相手にしてもらえないという、イソップの寓話そのままの非常に残念なことになってます。
でも、わたしが書いてておもしろいと感じるのは「コウモリ」的な小説なんですよね。めんどくさい書き手だな~
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