第53話 現代の見えない病
自動車通勤に一時間以上かかる――と最近さんざん書いているわたしですが、結局、車の中で何をしているかというと、カーナビで「ラジオを聴く」「テレビを聴く(見る)」「DVDを聴く(見る)」ということをしています。ラジオとDVDについては、おいおい書いていくこととして、今日は「テレビ」について書いてみます。
実は、通勤用にクルマを買いました。わが家のクルマは燃費があまりよろしくないため、往復90キロのクルマ通勤は家計に厳しかったのです。軽自動車にしました。燃費がいいからです。実燃費が驚異の26Km/L。もちろんハイブリッド車ではありません。日本の軽自動車すごいです。
ただ、車体はペランペランですし、インパネ(ダッシュボード)にも最低限必要な機能しか付いてないです。オーディオは正直なところラジオだけでよかったのですが、ラジオオンリーという選択肢がなかったので、安いカーナビを付けました。このナビ、ワンセグでテレビが視聴できるんですよね。
運転中にテレビドラマとか見るわけにいかないので、通勤中はテレビでニュースを聞きながら運転してます。わたしのお気に入りはNHK。ほぼNHKニュースしか聴いてません。
☆☆☆
映画を10分程度に編集した違法な動画「ファスト映画」をネット上に公開したとして、著作権法違反の罪で有罪が確定した2人に大手映画会社など13社が損害賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は請求どおり総額5億円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
20代の男女2人は、映画の映像を無断で使い字幕やナレーションをつけて10分程度に編集してストーリーを明かす違法な動画「ファスト映画」をネット上に公開して広告収入を得ていたとして、去年、全国で初めて摘発され、著作権法違反の罪で有罪が確定しました。(NHK NEWSWEB)
YouTubeにアップされている「ファスト映画」って見ます?
わたしは見たことありませんが、最近、二時間くらいの映画を10分程度にまとめた動画を見る人が多いらしい。どうしてそんなことをする――と驚きました。
2時間の映画は、2時間かけて見るから値打ちがあるんですよね。2時間通して見ることによって感動が得られるように作ってあるはずなんですよ。それを10分で? 10分で知ることができるのはどういう映画かという知識だけであって、作品の持つ人を感動させる力には触れられないと思うんですけど、どう思いますか。
これを見る人は、なんのために10分のまとめ動画を見ているのだろう。知識を得るため? あらすじを掴んでおもしろそうだと思ったら、お金を払って見るんですかね? たぶん違うでしょう。そんな自爆ネタバレをし込む人いませんよね。
小説もそうですけど、映画は「知る」ものじゃない「感じる」ものでしょ。10分じゃ知ることはできても、感じることはできないはすです。
☆☆☆
コンテンツビジネスに詳しいライターの稲田豊史さんは「ここ10年くらいで定額の動画配信サービスが普及したのに加え、作品本数も多くなり話題に上る作品が増えてきた。仕事でも学校生活でも現代人は多忙になっていて、より短時間に多くの作品を見ようと、タイムパフォーマンスを重視する風潮が強まっている」と指摘しています。(NHK NEWSWEB)
タイムパフォーマンス?
いやいや、小説も映画も浮世の憂さをいっとき忘れさせてくれるコンテンツですよ。そこに「効率的」などという「浮世の憂さ」そのものの論理を持ち込んじゃ台無しでしょうよ!
カクヨムでも何か月も、何万文字もかけて書いた長編小説を、ちょちょいと400文字程度にまとめられて分かったような気になられたらどう思います?
「ふざけんな」
ですよね(笑)
クルマを運転してて、このニュース。
すべてに忙しすぎる現代の闇であり、「病み」だなあ……と感じた藤光でした。
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