第49話 勇気の言葉

 この夏に岡本太郎の展覧会を見に行って以来、ずっと気になっていたので、このあいだ図書館に行った際、岡本太郎本を借りてきました。


「もっと知りたい 岡本太郎 作品と生涯」(東京美術)


 東京美術は、美術系の出版社で「もっと知りたい」シリーズは美術の入門書として非常に優秀。図書館でわたしが借りる美術本の定番です(っと、内容が脱線してしまいました?)


 この本のなかには岡本太郎、生涯の事績が要約されていて、とてもわかりやすいのですが、一番感心し、心打たれたのは本の見返しに書かれていた岡本太郎の言葉でした。


『決意を持って“乗り超える”と言い切ったとき、それはすでに乗り超えられている』


 人の意志に対する信頼に溢れた素晴らしい言葉だと思いました。


 長い人生のあいだ、人は非常に困難な状況に立たされることがある思います。しかし、その大きな困難を前にしても諦めず、「なにくそ」「かならず乗り超えてみせる」と自分に対して誓い、自身を鼓舞することってありますよね。


 岡本太郎にもきっとそういうことがあったのでしょう。そして、そう決意したときその困難はすでに克服されていると教えてくれているのです。いままさに困難のただなかにいる人にとって非常に勇気づけられる言葉だとは思いませんか?


 岡本太郎の生涯とその作品を知った上で、こうした岡本太郎の言葉に触れるととても勇気づけられます。それは岡本太郎が周囲との軋轢を恐れず、虚飾なく生きてきた人だからだと思うのです。


 皆が皆、岡本太郎のように生きられるわけではありません。その境地に至ることはできないのかもしれません。でも、もしかしたら岡本太郎はこういうわたしたちに代わって岡本太郎として生き、作品や言葉を残してくれたのかもしれませんね。

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