第35話 スランプから脱出するために
単純にスランプです。
小説が書けなくなっています。
いろいろあって自分のペースが取り戻せていないというのが理由のひとつですが、強烈に書きたいものがあれば書くことはできるような気もするので、書きたいものが見つからないというのが一番大きな理由かなと思っています。
このスランプから脱出するために、なにができるだろう?
まず、昨日エッセイに書いた「もののけ姫」を観てテンションを上げようとしてみました。宮崎アニメはおもしろい。
「もののけ姫」は日本の中世以前を舞台にしている点がユニークで、わたしも時代小説を描くようになれば、ぜひ中世を舞台に描いてみたいとずっと思っています。
ただ、いまは新しい時代小説に取り掛かるエネルギーがない状態なので、スランプ脱出には繋がらなそう……。
つぎに、NHKプラスでETV特集「芥川賞を読む。〜“正しさの時代”の向こうへ〜」を観る……が途中でやめました。さすがに芥川賞候補となる作家さんだけあって、その描写は文章職人って感じです。とても敵わないって感じ。逆にモチベーションが下がってしまいました。
前回の芥川賞候補にノミネートされた作品の作者は、全員女性だったようです。知りませんでした。これって話題になりましたっけ?
女性の時代……というか、男性的な攻撃性や猥雑さ、いい加減さといったものが、忌避され、遠ざけられる繊細な時代……といったらいいでしょうかね。
わたしもエッセイではこんな文体で、男性性を出さないようにしてます。その方が文章になじむから。また、文字の上でだけ威張ってみたところで、実際の腕力がともなわないと、現実には無力だと分かってますしね。
とにかく、スランプ脱出の役には立ちそうにないので、別の方法を探すことにしました。本棚から昔読んだ本を持ってきて読み直すことに。
「【実践】小説教室 伝える、揺さぶる基本メソッド」根本昌夫(河出書房新社)
四年前の本です。このころ、小説の書き方本をいろいろ借りたり、買ったりして読んでいました。この本に即効性があるかというと大いに疑問ですが、読み物としておもしろかったので読み返してみました。
本には、読んだ当時感銘を受けた箇所に付箋を貼り付けていたので「なるほどー」と思いながら読み返しました。なかには、当時はよく分からなかった箇所で、いまはなんとなく分かるようなところがあったりして――。
たとえば、
【小説の中で何かを描写するとは、そのものと「私」の関係を書くことにほかなりません。】
というような箇所がそう。
四年前に読んだときはぴんとこなかったのですが、いまはホントにそうだと思います。「私」というのは、視点となるキャラクターであったり、作者自身であったり作品によってさまざまだと思いますが、対象との関係性に無頓着な描写はいくら丁寧に書きこんでもリアリティが低いままだと思います。
【たとえば先ほどのスプーンです。(中略)「私」がこのスプーンを単なる日用品として見ているのか、高価な銀製品として見ているのか、思い出深い宝物として見ているのかのでは、(同じスプーンでも)書き方が違ってきます。(中略)そういうことを考えつつ書くと、いい描写ができるはずです。】
同じものを描いても、人(キャラクター)と対象との関係性によって、描写の仕方を変えないとリアルな小説は書けなってことですね。関係性の含まれない描写は説明にすぎないと。
わかる~。
不安でたまらないときに見る「いつもの景色」と、安心しきった心持ちで見る「いつもの景色」は、同じ「いつもの景色」でも感じ方がまったく違いますからね。(最近、不安な毎日を過ごしているもので……苦笑)小説のリアリティってこういうところから立ち上ってくるのだと思う。
意識してそういう描写をしてみようかな。
ああ、スランプの解消とはあまり関係がなかったかも……。
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