第2話 何か?
彼女は言う。
「あの、助けてもらってて恐縮なのですが、その腰が抜けちゃって…。」
「…。」
何と返せばいいのかわからなかった。
「そういうタイプなんですね…。その私の家まで運んでくれませんか?」
「…。」
無言で俺は彼女を抱える。
「ちょっ!お姫様抱っこ…。」
「?」
なんか言ってるようだが、気にせず連れて行く。
そして、分かれ道に差し掛かる。
俺は無言で止まる。
「右でお願いします。」
「…。」
無言で進む。
そのまま道なりに進むと女性はいう。
「この家です。」
「…。」
ひどいあれようであった。
窓、ドア、壁と至る所が割れていた。
家の外から彼女は叫ぶ。
「お母さん!アミ!」
何も返事が帰ってこない。
彼女は腰を抜かしたのも忘れて家に走り込む。
俺は黙って外で立っていた。
そして、外にいる俺にはただただ彼女の泣き声が聞こえてきた…。
「…。」
「どうだった?」
彼女が無言で出てきたので俺は尋ねた。
「…ひどいですね。」
彼女はそう言ってどこかに走っていってしまった…。
「また、なんか俺はやらかしたのか…。」
俺はそう呟き彼女の行った方とは別の方向に向かおうとした。
すると、それを妨げるように彼女の叫び声が聞こえてくる。
俺はそれを聞きそちらに手ぶらで走り出した。
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