第7話 断罪のアンダードッグ(流星side)
郵便ポストが倒れた。
容疑者である平野鏡を追うことによって、亀終組の地下室まで我々『アンダードッグ』は乗り込むことができた。
そして、今回の元締めである河本という組長を追い詰めて終わり。
そうなるはずだった。
「河本さんっ!! 河本さんっ!!」
なのに、河本が立っていた場所に郵便ポストがあった。
目線は切っていない。
いつの間にか河本がいた場所に郵便ポストがあったのだ。
種はある程度予測はできるが、追いつめるのは中々厄介そうだ。
遠藤という男が必死になって叫ぶが、河本は出てこない。
どうやら逃げ切られたらしい。
だが、逃げていられるのも時間の問題だ。
他の奴等は逃げられておらず、そしてここには『猟犬』がいる。
河本の匂いは特定できる。
これで追い詰めることができる。
「切られたらしいな」
ビクッと、遠藤が慄く。
他の連中は倒れていて戦力にならない。
そして、既に大勢の『アンダードッグ』の部隊がこの地下室に詰め寄ってきている。
最早、こいつ一人じゃ何もできない。
「奴のスキルについて吐け」
「誰が――」
指に銃弾を撃ち込むと、爆発して吹き飛んだ。
どうやら自分が詰んでいることに気が付いていなかったらしい。
失言一つで殺される立場なのを一発で理解させる。
「お願いしているんじゃない。命令だ」
「ぎゃあああああっ!! 指が、指があああああああああああああっ!!」
五月蠅い。
密閉空間で叫び過ぎだ。
「裏の人間が指失ったぐらいで喚くなよ」
悪事に手を染めた段階で、こうなることぐらい覚悟するべきだ。
自分だってこれ以上酷いことをたくさんしてきたはずだろうに。
「お前だって今までたくさん殺してきたんだろ」
「お、お前ら、異世界人の飼い犬か!! ふざけやがって!!」
「トカゲの尻尾風情が何か文句でも?」
こめかみに銃を突きつける。
今ならこいつの頭を吹き飛ばすことぐらい造作もない。
「わ、分かったよ、言う、何でも言うから命だけは助けてくれ!!」
「まずは河本のスキル、お前らの仕事について聞かせてもらおうか」
顎を動かして、後ろに控えていたメンバーに合図をする。
「拘束しろ」
「おい、待て、何をするつもりだ!!」
さっきまで女が座っていた椅子に、遠藤を縄で括り付けさせる。
今までこいつが他人に行った同じことを、いや、もっと悲惨な目に合わせてやる。
「嘘かどうか分からないからな。拷問して真実だけを吐かせる」
「待て、やめろ!! やめろ!! 本当のこと言うから、だからやめてくれ!!」
今の段階で本当かどうかなんて判断できない。
だから痛めつけ続けて、逆らう意思がないと分かるまでこいつを半殺しにする。
「知っているか? 拘束されながら水滴を額にずっと垂らしているだけで人間の精神は崩壊するらしい。いつまで持つか試してみるか?」
「やめろ、やめてくれええええええええ!!」
「うるさいな」
「あああああああああ!!」
足を撃ち抜いた。
出血多量で死ぬかもな。
だが、こんな悪党が死のうがどうでもいい。
どうせまだ拷問する予備は残っている。
そこらにまだ気絶している奴を、椅子に括り付けて同じことをすればいいだけだ。
「暴れるな。暴れると拷問できないだろ」
「うぐああああ。なんで、何で俺がこんなことに……。俺はなんでこんな不幸な目に合わないといけないんだよおおおおおおおおおお!!」
「お前が俺の前に現れたからだ」
時間のない俺は手っ取り早くこいつが吐くように、再び引き金を引いた。
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