護衛②

クリス視点です。


ありえない。

そう思った。

自分の知る限り近接戦闘ではブラッドは頭一つ抜けている。

なのに何だ現状は。

ブラッドは遠距離攻撃ができないとはいえ、これから使える主人であるウィルに手玉にとらえれていた。

最後のスキルは気になるがそれどころじゃない。


間違いなく初手特級魔術を使わないと勝てる気がしない。

彼はそれが自身の敗因であることも知らず実行した。


始まりの合図と共に詠唱が始まった。

主人は並列詠唱で高級闇魔法バッドギフト、中級風魔法エアランス、中級水魔法アクアランス、そしてアースランスを詠唱する。

僕は特級風魔法テンペンシスト、特級水魔法トライデントを詠唱する。

次代の賢者も流石に特級魔法は2個しかこの時は詠唱できなかった。

詠唱の速度勝負になっている。

単純な威力なら恐らくクリスの方が上、但し個数では負けていた。


主人はとんでもない速度で詠唱する。「覇王たる我が命ずる、暗黒の施しを施せ。/風の槍や敵を穿て。/水の槍よ敵を穿て。/土の槍よ敵を穿て。」

ああこれでは間に合わない。

主人の魔法が殺到する。

槍術こそ少し嗜んでいるが槍術にAGI補正はない。

すなわち避けることはできない。

信じられないダメージが出た。

たった3発で100000

これはクリスの最大HPを大きく上回った。

すなわちクリスが負けた。

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