第121話 ???VSディートヘルム

 エレノアとフェンリルが暴れていた頃、ソラの所では相変わらず楽な殲滅が続いていた。




「ソラさん! もうすぐ此方の魔道具が底をつきます! ですが、モンスター達はもうほとんどいません!」


「よし、なら残りを全部撃ち切ったら弱っている奴らを倒そう。今なら殆どのモンスターは狩放題だぞ! 素材は多少傷んでいるだろうが……まぁお金にはなる!」


 俺がそう言うと兵士が喜びの歓声を上げる。

 

 まぁ誰しもやっぱりお金欲しいよな。


 それも楽してもらえるんなら尚いい。


 俺もお金がそろそろなくなってきていた所だから丁度いいしな。


 しかしこの戦争は少しだけ俺にもメリットがあったり


 それは今俺の魔道具を使って殲滅しているから、何もしないでもlevelが上がることだ。


 まぁ言うても5個くらいしか上がっていないが、上位levelは1つ上がるだけで全然違う。


 それに俺は何もしないでいいんだ。


 しかし流石にlevel UPして体の感覚を確認しないわけには行かないので、俺が殆ど倒すだろうが、兵士を連れて敵に攻め込む。


「ソラさん! 全部撃ち終わりました! 私たちはいつでも出陣できます!」


 兵士の報告を聞いた俺は、俺の隣で戦場をじっと見ていたサラに話しかける。


「サラ、今から残りのモンスターを倒しに行こうと思うんだが、準備できてる?」


「……ん、できてる」


「よし、なら早速——」


「ちょっと待って」


 俺が早速行こうと言おうとすると、サラが突然待ったをかけた。


 俺は何故だか全く分からなかったため、聞いてみる。


「サラ、何で待たないといけないんだ? 何かあったのか?」


 俺がそう言うと、サラが何故か言いにくそうにしながら何かを躊躇っている様な行動をし出した。


 なんだ? サラは一体何を考えているんだ?

 

 俺は久しぶりにサラの考えていることが全く分からず、首を傾げるばかりだ。


 しかしここにいる事にはサラは何も言わないし、戦場に出るのも、『行くな』ではなく『ちょっと待て』と言っているのだが、今すぐ出なければいいのだろうか?


 それとも今日は出てはいけないのか?


 それともやっぱりそもそも出てはいけないと言う意味なのか?


 俺はサラの表情を見るが、顔には何かの葛藤しか浮かんでおらず、何を考えているか分からない。


 まるでゲームの時の俺がサラを好きになった初め頃の様な感じだ。


 その時はサラが何を考えているのか全く分からなかった。


 今はその状態によく似ている。


 俺は改めてサラに聞こうと口を開いた瞬間。


「っ———ッ!? 危ない!!」


 サラが珍しく大声をだして俺に警告してきた。


 俺はサラの言葉を信じて【加速】でサラを抱き抱えながら飛び退く。


 すると飛び退いた瞬間に轟音を立てて何が落ちてきた。


 いや落ちてきたと言うよりは、攻撃してきたと言った方がいいかもしれない。 


 しかしそんなことより俺は、ギリギリまで全く気づけなかった事に驚いていた。


 決して油断していたわけではないぞ。


 何なら常にサラが近くにいたから過去一と言っていいほど気を引き締めていた。


 勿論感知も全開にして。


 なのに俺には気づけなかった。


「チッ……一体誰だ!!」


 俺は思わず舌打ちをしてしまう。


 最悪だ……もう直ぐで終わりそうだったのに……。


 俺は殺意を込めて降ってきたやつを睨む。


 すると砂埃の中から1番聴きたくない奴の声が聴こえた。


「そんなに熱い視線を送らないでくださいよ……ソラ君」


「お前に呼ばれると反吐が出るから呼ぶなボケディートヘルムが」


 俺がそう言うと、ディートヘルムはニヤニヤしながら姿を現した。


「だいぶ嫌われてしまいましたね……元教師としては悲しいことです……」


「お前の好感度は元々測定不可能くらいに最悪だ。だから嫌われたんじゃない、元から嫌悪しているんだ」


 コイツがのことが少しでも好きだったことなど1秒たりともない。


 何ならまだ何も知らない時でも、『コイツ何かムカつくな。あの態度とか』なんて思っていたからな。


 俺の全力の殺気を浴びても涼しい顔をしているディートヘルムを見ると、本気で潰したくなるが、その役目は俺ではない。


「チッ……まぁいい。お前とは金輪際会うことはないからもう忘れるとしよう」


 俺はサラを抱いたまま殺気を治める。


 そんな俺を見てディートヘルムは訝しげにしていた。


「どうして突然———グボハッッ!?!?」


 何かを言おうとしたディートヘルムだったが、突然何かか俺の横を駆け抜けて、ディートヘルムに激突した。


 ディートヘルムはまるでピンポン球の様に吹き飛ぶ。


 俺はディートヘルムを突き飛ばした本人に頭を下げる。


「わざわざこんな所に来てくれてありがとう———エイク」


『いえ、大丈夫ですよ。偶には外に出たくなる年頃なので』


 本当の世界最強の一角が戦いに参加した。


 もうディートヘルムに勝ち目はない。 


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