第106話 嫌味な教師がいたもんだ

 俺たちがダンジョンから帰還した次の日。


 俺とサラとシューマはいつも通り学園に登校していた。


「そう言えばサラもシューマも体が痛くなったりした?」


 俺はふと思ったことを口に出す。

 

 俺は大量にlevel UPした時は、全身筋肉痛に苛まれた。


 まぁエリクサーですぐに治すけど。


 しかし2人にはそれが出来ないので少し心配だったのだ。


「ん? そんなことなかった」


 サラは首を傾げながらそう答える。


 あれ? 確かサラって1番level上がってなかったんじゃなかったっけ?


 それで一切何処も痛くならないなんてどう言うことなのだろうか。


 もしかして個人差があるのか?


 そう言えばエレノアも体が痛いとか言っていなかったな。


 まぁ痛みに慣れているからなのかもしれないが。


「サラちゃん痛くなかったの!? 俺は何時間かずっと身体中が痛くて死にそうだったんだけど!」


「うるさい。あとサラちゃんって呼ぶな」


 シューマはどうやら俺と同じく痛かったらしい。


 ならサラが特別なのか?


 それとも俺たちが単に体の性能が低かったのか?


 まだわからないことは多いが、どうやら俺の他にも痛みを感じる人はいるようだ。


「そう言えばなんか走ってくる人多くない?」


 シューマが不思議そうに走り抜く生徒達を見ながら言う。


 俺は先程から考え事をしていたため大して見ていなかったが、確かに走ってくる人が多い。


「一体何があったんだろうな?」


 俺たちは寮から学園に通っているので、それほど焦るほどではないが、中には実家から通う生徒もおり、その実家から来ていると言っていた人たちばかりが焦って走り抜けていた。


「なぁなぁ、何が起きているのかちょっと見に行こうぜっ☆」


 シューマがワクワクしながら俺たちに言ってくる。


 どうやら校門からくる人だけが急いでいるらしく、俺達裏門登校の人達は特に何もない様だ。


 まぁ確かに気になるし、まだ登校完了時間まで時間があるので行ってみるか。


「まぁ少し見るだけだからな?」


「勿論だ! サラちゃんは!?」


「……ソラと一緒ならいい」


「ならみんな見に行くでいいな! それじゃあレッツゴー!」


 シューマが走り出す。


 俺とサラは2人で顔を見合わせ、


「しょうがないから着いていくか」


「……ん」


 シューマを追いかける様に走った。







☆☆☆





 実際に校門に来てみると、あっさり理由がわかった。

 

 校門には1人の教師が立っており、何人もの生徒が足止めを食らっていた。


 そして何やら教師が話している。


「女子は挨拶の声が小さいくせに、話し声はうるさいな! 俺がよしとするまでここに残れ!」


 いや無茶苦茶やな。


 しかし男子への対応の方がもっと酷かった。


「男子のお前らは頭を丸めてこい! なんだその髪は! それにそのピアスや指輪は! お前達は学園を舐めているのか!? どうせお前達はこの学園でも落ちこぼれなんだろう!?」


 そう言って特に変だなとは思わない男子の髪を坊主にさせようとしたりピアスや指輪を取り上げようとする教師。


 しかも嫌味なことに平民ばかりを止めていおり、貴族には笑顔で素通りしている。


 うわぁ……。


「これは酷いな……」


「ん。最低」


「流石の俺でもこれは無理だぜ……」


 うん、控えめに言ってめちゃくちゃ嫌な教師だ。


 前世でも偶にいたんだよなぁ……一部の人間をエコ贔屓する教師が。


 あいつらは自分のお気に入り以外には態度を変えるからな。


 俺たちが引いていると急に教師の目線がこちらに向く。


「お前達は? 見ない顔だが……」


 物凄い嫌だが一応名乗る。


「ソラです」


「……サラ……です」


「シュ、シューマです……」


 俺たちが名乗るとまず教師の目線がサラに行く。


 あっ、この目線は知っているぞ。


 下卑な目だ。


 こいつ生徒であるサラに変な目線を向けるなよ。


「それでは私たちはこれで失礼します」


 俺はさりげなくサラの前に立ちそう言い、回れ右をしようとした瞬間に呼び止められる。


「いやダメだ。お前達もここに残れ」


 サラに目線を固定しながら言ってきた。


 ……はい、面倒な奴に絡まれたぁ……。


 俺は心の中で大きくため息を吐いた。


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この度新作を投稿しました。


ジャンルは現代ファンタジーで、題名は、


『俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜』です。https://kakuyomu.jp/works/16817139554828093372


です!


是非見てみてください!

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