第1章最終話 ゲームにいない敵

 野外実習での事件は、大々的に取り上げられた。


 その中でも特に人気だった記事がある。


 それは、俺の神技だ。


 俺が2回も世界の空を変えているから、とうとう同一人物だとバレてしまった。


 まぁまだどんな奴かもバレていないから大丈夫だと思うが。


 いや逆に俺だと明かしたら、サラを狙ってくる奴減るかな?


 しかし俺よりも強い敵がいるかもしれない中で、明かすのは得策じゃない。


 あの後、ヴェロニカをエレノアが尋問したらしく、あの女はある組織に所属していたことがわかった。


 俺はエレノアにどうやって尋問したのか聞いたら、


『ヴェロニカにフェンリル様に殺気を使ってもらいました! なので傷一つついていません!』


 と自慢げに言われたので、取り敢えず誉めておいた。


 普通の人だったら、骨折とかよりもよっぽど地獄だと思うけどな。 


 そしてそこでは、俺のように人間の限界を超えた奴がいるそうだ。


 正直ゲームでは、限界突破した奴は腐るほどいたから、そこまで脅威ではない。


 しかしその組織はステータスのことも知っているようだ。


 もし俺と同じ到達者が居たら、負けることはないと思うが、サラを守り切れるかはわからない。


 なので、取り敢えずヴェロニカは、国に渡した。


 シャーロット先生がね。


 俺はキメラを倒した後に、見ていた3人に誰にも言わないでほしいと言う趣旨を伝え、みんな承諾してくれた。


 みんないい奴でよかったよ。


 これにて取り敢えず事件は解決した。


 しかしまだ組織が潰れていない以上、油断はできない。


 俺も更に強くならないとな……。


 そんなことを思いながらぼんやり授業を受けていると。


「ソラ君! この魔法を説明してください!」


 シャーロット先生に当てられた。


 やめてよ、俺が1番苦手な魔法理論なんだからさ……。


 俺は渋々立ち上がってサラをチラッと見ると、目があった。


「がんばれソラ私の騎士


 そう言って俺にしか分からない笑顔を浮かべて応援してくれた。


 やっぱりサラは女神だなぁ……。


 俺はサラに見惚れていたら結局また怒られてしまった。


 まぁサラの笑顔が見れたし、プラマイゼロと言うことでいっか。


 俺は謝りながら黒板へと向かった。







☆☆☆






 ヴェロニカの所属していた組織のアジト。


「兄貴! ヴェロニカの野郎が捕まったってよ! どう言うことだ!? アイツはキメラを使役していたはずだ! あれは俺でも倒せないんだぞ!」


 1人の大柄の男が、兄貴と呼んでいる青年に向かって報告とも質問とも言えることを言っていた。


「まぁ落ち着いてください。僕も混乱しているんです。しかし、ヴェロニカが捕まっていることは、人間の限界を超えているんでしょう」


(しかし僕のlevelが156。この組織で1番高い僕でも勝てないキメラに勝った者には興味がありますね。是非とも私の組織に入れたい)


 兄貴と呼ばれた男は、椅子から立ち上がっていった。


「よし、ヴェロニカを倒した奴を探してきなさい」


「はッ! 了解いたしました、兄貴!」


 そう言って大柄の男は、部屋から出て行った。


「まぁ取り敢えず調べてみるしかありませんね」


 もし邪魔するのなら……この手で潰しましょう。


 僕達にはあれがありますしね。


 そう言って報告を待つのだった。






☆☆☆






 生徒会の一室。


「会長、これが前回シャーロット先生と共にいた生徒です」


「ありがとう。あとは私が見ておくわ」


「それでは失礼しました」


 生徒会長が、報告書に目を通す。


「これがヴェロニカを倒したと思われる人ね……」


 そこには、『アラン』『イリス』『レオン』『シューマ』『サラ』と書かれており、最後の一枚に、『ソラ』と書かれていた。


「ソラくん……久しぶりに会いにいこうかしらね……?」


 生徒会が動き出す。





第1章 裏切り者の陰謀編 (了)

 

 


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これにて第1章完結です!

次回からは第2章の始まりです!

お楽しみに!


 面白い! まぁまぁかな? ソラ、エレノアがんばれ! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。 

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