第36話 主犯者の正体

 今俺達は森を走り抜けていた。


「まずいってまずいって! さっきからめっちゃどんどん聞こえるんだけどっ!」


「ん。魔物の大群」


「よくわかったね。流石サラ!」


「て言うかなんで2人はわかるんだよ!」


「【魔力感知】」


「【気配感知】」


「いいなぁ! ダブルスキル持ちはよ! 俺なんて1個も持ってないのに……」


「わ、私もですから……そんなに落ち込まなくても大丈夫ですよ……」


 そんなことを話しながら走る。


 俺とサラはシューマ達のペースに合わせているが。


 途中にゴブリンやオークがいるが、サラが纏めて倒してくれる。


「ありがとうサラ!」


「ん。全然平気」


 そう言って悪戯が成功した子供のように笑ってピースする。(勿論ソラしか分からないが)


 お茶目なところもいいなぁ……。


 ゲームではこんなところは見られなかったから。


 どうやらサラは俺が思っていた以上に、普通の女の子みたいだったらしい。


 うん、めちゃくちゃいい。


 俺がサラの可愛さにやられていると、オークが現れる。


「お、オークですよっ! 私達じゃ勝てません!」


 本当は俺なら全ての感覚を失っても指で触るだけで倒せるんだけど、勿論そんなことはしない。


 もう少しバレる訳にはいかないのだ。


 俺も逃げようとするが、シューマが【シャイニングレイ】を放った。


 この魔法は、上級魔法に分類されており、オーガですら倒せる魔法だ。


「い、いつの間に上級魔法なんて使えるようになったんですか!?」


 ペトラが驚いたようにシューマに聞く。


 シューマは、ドヤ顔をしながら言う。


「ふっふっふっ、俺はみんなの為に練習していたのさっ☆ どうサラちゃん? 凄いでしょ!?」


「ん。凄いけどうるさい」


「おお~! サラちゃんに初めて褒められたっ!!」


 さてはこいつ、うるさいって所聞いていないな。


 まぁでもゲームでは、この時にまだ上級魔法は使えてなかったから、相当頑張ったんだろう。


 SPも使わずに上級魔法に到達するには相当時間がかかる。


 やはり人気ランキング上位に入るだけあるな。


 シューマとサラの活躍によってスムーズに進んでいく。


 正直今俺は戦いたくないからな……だからとてもありがたい。 


 そんな感じで邪魔になるモンスターをサラとシューマに倒してもらっていると。


「あっ! 森の出口ですよ!」


 ペトラが前を指差して言う。


 そこには太陽の光が差していた。


 俺達は出口に向かって駆け出す。


「よし! 出られ…………え?」


 シューマが安堵の言葉を吐いた瞬間に、大量のモンスターが出てくる。


 そこにはキングトロールやキングオーガなどの上位種も沢山いた。


 これにはシューマもサラもペトラも驚いている。


「な、なんでこんなに集まっているんだ……?」


 シューマが呆然と呟く。


 サラも表情は変わっていないものの、汗をダラダラ流していた。


 しかし流石ゲーム主要キャラと言えよう。


 シューマはすぐに復活すると、魔力を練り出す。


 それに応じてサラも【身体強化】を発動して、魔法も使う。


「【シャイニングレイ】ッッ!!」


「【スロウ】【スロウ】【スロウ】【アイススピア】」


 俺も剣でオーガとギリギリの戦闘を繰り広げる。


 そしてペトラも魔力を練っていた。


 不味いな……そろそろ潮時か……?


 俺は誰にも見えない場所まで行って、一瞬でオーガの首を斬る。


 そしてある魔道具を発動させた。


「こい、俺の指輪よ」







☆☆☆







 みんなの元に戻ると、シューマが上級魔法を連発したせいで魔力切れを起こしていた。


 サラは怪我はないものの、シューマと同じく魔力切れに陥っている。


 そしてシャーロット先生もいつの間にか来ていた。


 俺は取り敢えず魔法の指輪から魔力回復薬を取り出して2人に飲ませた。


「お~ソラ~ありがとう~」


「ありがと」


 2人のお礼を聞くと、俺はゆっくりと立ち上がる。


 そしてシャーロット先生に話しかけた。


「シャーちゃんはどうしてここにいるのですか?」


「それはペトラさんがピンチだと言うから助けに来たんです!」


 そう言ってドンッとない胸を張る。


 もうそこまで進んでいたか……。


 俺は先生にボソッと言う。


「これから起こることには口を出さないでくださいね」


「えっどうしてですか?」


「それは後ほど解ります」


 俺はそれだけ言って、サラの前に立つ。


 さぁ明かすとするか、今回の騒動を起こした主犯を。


 俺はある人に向けて言う。






「そろそろこんな茶番は終わりでいいんじゃないのか? ————ペトラ」


 



「……え?」


 それが誰の呟きだったのか分からないが、静かになったここではよく響いた。


「ど、どう言うことかな、ソラ君?」


 ペトラがオドオドしながら聞いてくる。


「はっきり言わないと分からないのか? なら言ってやろう」


 俺はそこで一旦区切ってみんなを見ると、みんな困惑しているようだ。


 勿論ペトラもそう言う演技をしていた。


 自分で言わないのなら俺が言ってやろう。


「まず、始まりは実技授業の時だ。あの時アルバートをシャーロット先生にけしかけたのはお前だろう? しかしそこでサラの邪魔が入った。だから元々用意していた次の計画で、サラ諸共シャーロット先生を潰そうとした。その次の計画が、この魔物の大群だ。どうだ俺の推理は? あっているだろう? ペトラ……いや————召喚術士ヴェロニカ」


 ペトラ————ヴェロニカはオドオドしていた素振りを止めてニヤリと笑った。


 

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 さて主犯もわかったことですし、次回からとうとう無双の始まりです!

 お楽しみに!


 それと22話のソラの自己紹介で、『二刀流』となっていたところを『一刀流』に変更しました。

 そうしないと後の話で違和感が出るので……。

 すいませんでした。


 面白い! まぁまぁかな? ソラ、エレノアがんばれ! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。


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