五章 群雄割拠
第二十六話①
授業の終わった放課後。
俺・ルーチェ・アルベルトの三人で何処かに遊びにでも行こうかと話している最中だった。
「失礼。ロア・メグナカルト君って何処にいるか分かる?」
突然言葉を投げかけられた。
俺を探している人物か。心当たりはあまり無いが、別に無碍にするような必要も感じない。
素直に応対するとしよう。
「俺がロア・メグナカルトです。何か用ですか」
「君か! 実はこれからトーナメントの組み合わせ抽選するんだけど来れないかと思ってね」
──ということは、すでに出場メンバーが揃ったのか。
「あと、エンハンブレさんとアルベルト君もいればいいんだけど」
「……アルも?」
「うん。彼も出場権を持つから」
その話は聞いていないぞ。
アルのほうに振り向いてみればにこやかに笑みを浮かべている。
「どういうことだ」
「僕も上の順位に上がった、それだけの話さ」
詳細を話すつもりはないらしい。
あとで口を破らせてやるから覚悟しておけよ。そういう意味を込めてひと睨みしたが、軽く肩を竦めるだけだった。
「ああ、三人とも揃っていたのか。ちょうど良かったな」
「わざわざ貴方が迎えに来なくても良かったのに」
「そういう訳にもいかない。他の人達のところにはテオドールが向かってるからね、僕は一年生を回収する役目があるんだ」
教室の扉からステルラが顔を出した。
ヴォルフガングもいるのだろう、ということはこれで一年生は全員か?
「うん、そうだね。今年の一年生は強いとは思っていたけど、まさか五人も出場してくるとはなぁ……」
「俺は十二使徒門下枠です。少し立場が違う」
「君は強いよ。思わず
俺なんぞに嫉妬せずにステルラに嫉妬して欲しいな。
剣しか振るうことのできない男と魔法ならばなんでもできる女、どちらが優秀かなんて一目瞭然だ。
「っと、あまり待たせても申し訳ない。行こうか」
金色の髪を切り揃えた彼は歩き出した。
その後ろを歩きながら、それとなくアルに視線を送る。
「……誰か知ってるか?」
「勿論。ていうかなんで君は知らないの?」
山育ちだから俗世に疎いことにしてくれ。
「まあ、面白いことも聞けたし教えてあげる」
……?
今の会話に何かあっただろうか。
特になんでもない、普通の会話だったと思うのだがアルは楽しそうに笑っている。
疑問を浮かべる俺を放って、笑みを崩さないまま言葉を続けた。
「名をテリオス・マグナス。『
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