第19話 雨が降っている(7)
「失礼します」
最後までけなげな声を立てて
「どう?」
とでもきくように、首を傾げて見せた。
大林千鶴がそんなに活発にしゃべったわけではないけど、急にいなくなると、二人で時間を持て余すような感覚が強い。
もちろん、そんなに長くない昼休みだから、持て余すほどの時間はないのだけど。
「ま、そういうわけだから」
郷司先輩が言う。
「その一年生三人がカラーガードの練習にいないのがなぜか、晶菜はてきとうにごまかすように」
「いや」
それは無理だと思う。
ごまかすためにはごまかす材料を持っていなければいけない。ところが、晶菜も四月にカラーガードに入ったばかりで、ごまかせるほど、カラーガードのパートについて知っているわけではない。
郷司先輩が言う。
「何か聞かれたら、「さあ、さぼりでしょ?」ぐらい言っとけばいい。だいたい、
それは気にしないだろう。唐崎
「でも」
と晶菜が言い返す。
「
椎名ひとみ先輩は、二年生に「
蒼子先輩は別として、椎名先輩と
「そのあたりは、気がつきますよ」
「
その判断に従うことにする。どうして郷司先輩がそんな判断をしたのかはわからないけど。
「で」
と郷司先輩が言う。
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