第14話 雨が降っている(2)
マーチングバンド部「
ここはクラスの半分ほどの人数しか入らないので、教室として使うことはほとんどない。隣がフライングバーズ用の楽器倉庫ということもあって、ほとんどフライングバーズの専用部室になっている。
「どこか適当なところに座って」
言われなくてもそのつもりだ。
先輩が切り出す前に、晶菜が言う。
「ここでいいんですか? わたしたち以外に話が漏れたら」
フライングバーズには部長に対する反対派がいる。部室なら、その反対派のメンバーが来るかも知れない。
郷司先輩が愚痴っぽく答える。
「わたし、ああいう密談、嫌いなんだ」
その
「それなら、いいですけど」
晶菜も本来はそういうのが嫌いだ。少なくともめんどうくさいとは思っている。
だれか来たら、話を変えればいいだけだ。
先輩がきく。
「カラーガード二年以下の様子はどう?」
昨日も雨が降っていた。その放課後、カラーガードでこの教室に集まって城まつり本番のパレードについて決めた。先輩はそのことを言っているのだろうけど。
「様子はどう、って?」
晶菜は疑問的にきいてみる。
「先輩もいらっしゃいましたよね? 昨日のミーティング」
会計の仕事に専念する、と言っていた郷司先輩は、あの雨乞いを決めた日、カラーガードの演技に出場すると言った。
だから、昨日放課後のカラーガードのミーティングにも出ていたはずだが?
「わたしは、
先輩は正直に言う。
小森先輩はカラーガード首席、郡頭まち子と唐崎は問題部員だ。
晶菜も正直に答えることにした。ここで正直でない態度を取ってもいいことは何もない。
「
「じゃあ、わたしたちでオリジナルの雨乞いダンス考えようか?」
と反応した。そんな子だ。
「
「富貴恵さんたち」というのは、
この三人は去年からのカラーガードで、もっている技術も高いらしい。たぶんそのフラッグという大きい旗も使えるのだろう。
「あと、
その月曜放課後のミーティングでは、郡頭まち子が演技を説明し、それを
「これでいい?」
などと言って確認していた。
「本番、今週末だからね。失敗はできないから」
いや。
自分の苗字をネタにいじられたら、それは本番が今週末かどうかという問題を超えると思うけど?
「で、一年生は?」
郷司先輩がきく。でも、晶菜がそれに答える前に、すっと戸が開いた。
「失礼します」
という声がする。
すぐには、それがだれかわからない。
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