第106話 蒼炎との深まる関係
【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】
「不機嫌な感情は変わりません! イライラはだいぶ溜まってきています!」
僕は蒼炎の魔法を撃ち、直ぐにヴィア主任に蒼炎から伝わる感情を伝える。
朝から数えて150発目の蒼炎の魔法だった。
ヴィア主任から僕に声がかかる。
「良し、だいぶ蒼炎のストレスも溜まってきているみたいだな。今日も150発の蒼炎の魔法を撃ったから終了としよう。いよいよ明後日はダンジョン外での蒼炎のデータを取るぞ」
そう言ってヴィア主任は帰宅の準備を始めた。
今日は5月2日の【青の日】。ヴィア主任とサイドさん、ミカ、僕の4人でダンジョンに蒼炎の魔法を撃ちに来ている。
先週も2回、ダンジョンに行った。その時も150発の蒼炎の魔法を撃った。これで連続600発の蒼炎の魔法をダンジョン内で撃ったことになる。
明後日は遂にダンジョン外での蒼炎の魔法の使用実験だ。
自宅に賊が侵入してから、もう1週間以上経った。やっと今は日常の生活に戻っている。
賊が侵入してからは、瞬く間に事が進んで行った。
冒険者ギルド本部が行なった査察ではギルド長のビングス・エアードの横領や不正が多数見つかった。その日の内にビングス・エアードは冒険者ギルド本部に拘束される。
また僕たちの家に侵入した賊もビングス・エアードが冒険者ギルド本部に拘束された話を事件担当者から聞かされてからは、次々と命令したのはビングス・エアードと自供を始めた。
その後、ビングス・エアードは諦めたようでこちらも自供を始める。
事件に関わった人達が自供を始めたので事件の詳細が分かった。
事件当日の午後、ビングス・エアードは冒険者ギルド本部から、僕とミカの出頭要請を取り下げるよう命令がされる。
本部がビングス・エアードの考えていた出頭要請の根拠を詳細に知っていることが問題だった。
自分の近くに裏切り者がいると確信して情報を漏らした者を特定しようとしたが分からない。
裏切り者がいるのなら今まで行なってきた横領や不正の情報が冒険者ギルド本部に渡っている可能性が高いだろう。このままでは身の破滅だ。
すぐに王国財務部への復帰を諦め、ギルド長の職も諦めた。逃亡資金の為に多額のお金を得る事にする。
愛人のパメラに僕の自宅まで行ってユリさんを連れ出してくるように命令した。
ユリさんを人質にして僕達からお金と高価なダンジョン産の装備を得ようと考える。
しかし僕の家に行っても誰もいない。
パメラは僕の家の門の前で途方に暮れていた。それでもパメラは待ち続ける。
ユリさんだけが帰宅するかもしれないと考えていたからだ。
しかし帰ってきたのは僕とミカ。パメラは諦めてビングス・エアードの元に帰った。
ビングス・エアードはユリさんを人質に取るのを諦め、僕達の家に強盗に入る事を決める。
子飼いの冒険者6名を集め、痺れ薬を渡した。
計画は僕たちの家に侵入後、痺れ薬を使って僕たちを無力化して拘束。痛めつけて僕たちの現金と高価なダンジョン装備を強奪する予定だった。
侵入するのは6人の冒険者達。
ビングス・エアードとパメラは外で見張りをし、拘束の連絡が有れば、すぐに中に侵入する予定だった。
門には侵入者を阻む魔法陣が設置されてあった。見た事が無いタイプであったため、どのような作用があるのか分からない。
門からでは無く、塀を乗り越えて冒険者達は侵入した。ところが侵入しようとしていた裏庭の窓にも魔法陣が設置されている。
侵入してきた6人の冒険者達は揉めた。
誰かが実際に窓を開けてみよう、他のところから侵入できないか探してみよう、今日は撤退して後日また襲撃をしよう。
なかなか結論が出ない時にミカの襲撃を受けた。
外で見張りをしていたビングス・エアードとパメラは冒険者達の絶叫を聞く。計画の失敗を察知し、すぐに逃亡する。
ビングス・エアードは6人の冒険者達には、もし捕まっても裏から手をまわして助けるから何も言わないように厳命していた。
しかしそれも時間の問題だ。
何か起死回生の策が無いか頭を絞っていた。
冒険者ギルドには週明けの【青の日】に魔石買い取りのための現金が運ばれてくる。その現金に目を付ける。
ビングス・エアードは週が明けるまで事が発覚しなければ何とかなると思い、通常通り冒険者ギルドに出勤した。
そこでビングス・エアードは冒険者ギルド本部からの査察を聞くことになる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ビングス・エアードは現在、ギルド長の職を解かれ第二騎士団に拘束されている。ビングス・エアードは観念したのか、全てに対して自供を始めた。
パメラと事件に関わった6人の冒険者も第二騎士団に拘束されている。
ビングス・エアードとパメラ、6人の冒険者。今後、どうなるかわからないけど僕のこれからの人生には関係無い。
先日、冒険者ギルドセンタール支部ギルド長に新しい人が配属された。
平民の30歳くらいの女性だった。
僕の自宅まで挨拶と冒険者ギルドセンタール支部として謝罪をしにきた。しかし僕は興味が特になかった。
こうして僕の中ではこの事件は終了した。
最近、蒼炎を使えば使うほど、蒼炎の感情がより分かるようになって来ている。
僕の感情も蒼炎により伝わっているように感じる。意思疎通が出来てきている感じだ。
新しい魔法の開発はなかなか進んでいない。
どうやら僕には詩的感覚があまり無いようだ。これは勉強しても伸びないような気がしている。
ミカがそんな事はないと言ってくれるが、こう言う時のミカの言葉は信用しない事にしている。
蒼炎の魔法を使えば使うほど、蒼炎の感情が僕により伝わり、今は意思疎通が出来ているとヴィア主任に伝えたら興奮していた。
僕も明後日の野外での蒼炎の魔法の実験を今から楽しみにしている。
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