第37話 風スキルの名家の最期とここほれにゃんにゃん

 魔物を倒して、風スキルの名家を探しに行くと大声でどなる声が聞こえた。


「早く助けろ!私を誰だと思っているんだ!!」


 風スキルの名家は、ガレキの下じきになっていた。


「汚らわしいとか文句ばっかりだよ!

 助けてやろうっていうのにさ!」


 リーベラさんが怒っていた。


「騎馬族ごときが私にふれるな!」


 青白い顔で、明らかに具合が悪そうなのに、偉そうな風スキルの名家。


「言っていることがめちゃくちゃだ」


 俺が顔をしかめるとジゼルが言った。


「大きなケガで興奮してますわ。

 たぶん何を言っているのか、自分でも分かっていませんわね」


 異常な興奮状態に、兵士たちも手を出せないようで様子をみている。


「おい!そこの女!俺をさしおいて、そのガキをたらしこんでんのか!」

「毒でも飲ませましょうか?」


 目が笑っていないジゼルが、提案してきた。


「やめてくれ。それより、風スキルの名家に聞きたいことがある」

「ガキに理解できる頭があるのか?」


 偉そうな風スキルの名家に呆れる。


「こんなガレキの下じきなのに……。まだエラそうだ……」


「自白剤もありますわ」


 ジゼルがちいさな薬瓶を取りだした。


「それを使おう」


 時間がないのでジゼルの提案にのる。


「きさまらぁ、グブッ」


 筋力増強スキルで無理やり飲ませた。


「この私がこんな目に会うなんて……。炎スキルの名家と組むんじゃなかった」

「前の王はそれを知っていたのか?」


 青白い顔の風スキルの名家は続ける。


「無能な王が知るわけないだろう!

 炎スキルの名家はバカみたいに忠誠を誓っていたがな!俺は違う!

 貧乏貴族から守護獣ビーストの強いスキルのおかげで、俺は風スキルの名家の養子になった。

 そこからどれだけ努力したと思っている!

 俺は、いずれ王を超える人間だ!

 誰がどうなろうとどうでもいい!さっさと助けろ!」

守護獣ビーストが魔物になったようだが、あの薬はなんだ?まだあるのか?」

「知らん!ジジイに聞け!

 人造魔物計画の途中でできた、守護獣ビースト用の、試、作品、だ。

 使う、相手が、いなか、ったが、都合、よ、くで、てくれ、……助か……った……」


 しばらくすると風スキルの名家は動かなくなった。


「血を流しすぎたね。だから言ったのに……」


 リーベラさんが言った。

 ジゼルは、風スキルの名家が下じきになっているガレキを調べていた。


「この大ケガです。今まで持ったのが奇跡ですわ。

 大人しく助けられてくれれば、よかったのに……」

「自業自得だな……」


 結果、看守3人と牢の番人1人、土スキルの名家を助けた。


「イオ、魔物のコアを分解しよう」

「にゃ!」


 アルベルトのときと、同じように大きなコアを掘っていくイオ。


「うにゃにゃにゃにゃ」


 ポイポイポイポイ


「魔物のコア?」

「コアにしては歪ね。これも調べないと」


 セリスが、イオが取り出したものを拾っていった。


「うにゃにゃにゃにゃ」


 ポイポイポイポイ


「また、多いな」


 あまりの数に呆れる。


「これで最後にゃ!」


 イオがすべてのコアを取り出すと、セリスが浄化の魔術と封印の魔術をかけた。

 俺の兄は魔物と一体化していたせいか、砂となって崩れたのだろう。

 跡形あとかたもなく消えていた。


「これで一件落着でしょうか?」


 フェイジュンが不安そうだ。


「今のところは大丈夫だろう。人造魔物の研究所は破壊して封印もされてる。

 炎スキルの屋敷と風スキルの屋敷を調べる必要があるが……。

 名家が直々に動いているということは、他に協力者はいない気がする」

「我が王、そこはセリスちゃんたち魔術師が調べるから安心して!」

「頼んだぞ。それと街は無事か?」

「はい。運河も街も被害は全くありません。

 ……私は騎馬族を誤解していました。

 申し訳ありません」


 ドーラがフェイジュンとリーベラさんに頭を下げた。


「頭をあげてください!誤解なんてなれてます」


 フェイジュンが慌てる。


「フェイジュン、誤解がとけるのはいいことだよ?

 ドーラだっけ?あんたの周りに広めておいてよ、騎馬族はいい人たちだって」


 リーベラさんがドーラに告げた。


「もちろんです」


 ドーラは力強くうなずく。


「騎馬族の誤解が無くなるといいな」

「そうですわね」


 俺の言葉にジゼルがうなずいた。


「さあ、みんなのところへ帰ろう」


 ◆◆◆

 読んでいただきありがとうございました。 


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