Day3-4 教室で……


「おはよう、ヒロト君」


「グッモーニン!ヒロト」


「ヒロト君、おはよう!」


「あ、ヒロトだ!おはよう」


「……ヒロト君、おは…うござ…ま……」


「ヒロヒロ、おっはー」



教室に入ると、クラスメイト達から「おはよう」を浴びせかけられる。

かすかにベルデの声も聞こえた気がするが、姿が見えない。

いきなり、僕の周りには女子たちの壁が出来てしまった。



「みんな、おはよう……」



なぜだろう。距離感が近いぞ。

圧がすごい。



「ねえ、ヒロト。今日はネレアさんはいないんだね」


「ネレアはコンサートのリハーサルで休みだって」



ネレアがいないと聞いて、もう一段圧が強まった気がする。


彼女がいない今のうちに、僕との距離を縮めたいと思っているのだろうか。



「その子は誰?」


「この子はノアちゃん。付属の子だけど、今日は学園の方の見学に来たんだ。授業も一緒に受けるよ」


「ノアと言います。よろしくお願いします」


「ノアちゃんって言うんだ。かわいい!!」



かわいい!かわいい!とお姉さんたち撫でられたり、ハグされたり、もみくちゃにされるノアちゃん。


強く……強く生きるんだぞ。




教室にいる女子たちを見てみる。


僕の記憶では、初日にはスラックスを履いた生徒がいた。昨日の記憶はあいまいだが。


今、教室にいる生徒は、僕以外は全員スカートの制服姿だ。



どうにも僕が「スラックスを履いている生徒は男子」だと思い込んで、見向きもしなかったことがばれたらしい。


そのため、スラックスを履いていた女子は、スカートに変えたようだ。



これはもう僕の「自意識過剰」ではない。



どの女子も僕に選ばれたいと思っている。



僕は彼女たちにどれくらい応えたらいいんだろうか。



「あの、ヒロト君! 今日の日直は私、ハンナです!」


「へぇ、そうなんだ」


「さっそくなんだけど、日直の仕事を手伝って欲しいんだ。いいかな?」


「いいよ?クラスに男子は一人しかいないものね。手伝うって、プリント運びとか?」


「えーと、そんなんじゃなくて……」



なぜか恥ずかしそうにモジモジするハンナ。



「ヒロト君、目をつぶってくれないかな?」


「目をつぶる……日直と関係あるの?」


「いいから!」




仕方なく目を閉じる。




その刹那。



唇に何かが当たる。




目を開ける。




そこには



ハンナの顔があった。




「……今、僕にキスした?」


「こっ……これは日直の仕事だから!」



日直……とは?





ーーーーー




午前中の時間割は



ホームルーム


1時間目・歴史の授業


2時間目・自習


午後から授業はなしで自由。



なんか、ぬるすぎない。




ホームルームでは、マルティア先生と



歴史の授業では、アトニーナ先生と



また今日の日直であるハンナとも




した。




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