第102話 Sランク試験
「分かりました『風使い』はライ、パーティーぐるぐるのメンバー、まあ君達が名のれる二つ名だ。個々の二つ名はこれからだな。ふふっ、かの『風使い』は『猫遣い』とも呼ばれていたと言う」
「リントは冒険者で、ケット・シーにゃ。猫とはほんの少し違うにゃよ? 魔法も使える大魔法使いにゃ!」
「ぐっ、そ、そうだったな。では『スライム使い』だな。······弱そうだが」
ぷるっぷると震えと突起を伸ばしブンブン振っています。五センチほどの長さですが、ムルムルも大切な仲間ですよ。
「んん。では、すまないがお茶をもう一度頼めるか? まだこれから説明があるからな。おっとその前に君達のギルドカードを一旦Aランクにする。今のCランクのギルドカードを預からせてくれ」
「分かりました。ほいっと! 僕とテラ、リント分です」
「はい。私のもよろしくお願いします」
ギルドマスターは四枚のカードを落としたコップとポットを拾い上げているお姉さんに渡し、『暫定だがAランクに登録だ。頼む』と言って渡すとお姉さんは受け取りそのまま応接室を出ていきました。
くふふ。金色になるはずですよね♪ 凄く楽しみです。
「よし。まずは座ってくれ」
僕達は話を聞くため、転移前に座っていた場所に座り、ギルドマスターさんが喋るのを待ちます。
「まずは、昇格おめでとう。その若さで暫定とは言えAランクになった者はほんの少しだ。ふう。まったく羨ましいぜ、俺なんか引退寸前にやっと上がったんだぞ?」
「それはギルドマスターの素行が悪かったと聞いていますが?」
「ち、ちょっと酒飲んで暴れていただけじゃないかな。あはは······。っとそんな話は置いといてだな。試験を受けてもらう」
お酒を飲んでどんな暴れ方をすればAランクに上がるのを止められるのか気になりますが、試験ですか。
「はい。どのような試験ですか?」
「この街はダンジョンが有名な街だ。だがまだ誰も攻略者はいない。おっと早とちりをするなよ。何も攻略してこいとは言わない。この街最大のダンジョンへ潜ってもらおう」
おおー! ダンジョン攻略が試験なのですね! ぬふふふ。楽しくなってきましたね、食材は大丈夫ですから、調味料を少し買い足しておきましょうか。
「ん? 聞いてるか? 一度しか言わないからな。でだ、そのダンジョンの最高攻略階層は四十八階だが、四十階層を攻略してもらう。そしてその四十階層にはとある魔物が出るんだが、そいつを倒すと次の扉が開くんだ。そこをくぐり、ダンジョンカードの階層表示が四十一階にして戻ってきてもらう。簡単だが、そう簡単には無理だがそれが試験内容だ」
······それからお塩と、胡椒があると嬉しいのですが、後は油や果物も買っておきましょうか。
うんうん。楽しくなってきましたね♪ ダンジョンの
「ギルドマスターお茶をお持ちしました」
「ああ。すまないな。ギルドカードもできたか?」
「はい。一緒にお待ちしました。こちらを」
はっ! お姉さんが戻ってきましたね。おお! キラキラですよー!
「くくくっ。私もAランクに上がった時はそんな顔をしていたのかな。よし、待たせるのも酷だな。早速渡そうか、まずはライ」
「はい!」
僕は立ち上がり、ピシッと音が出ていてもおかしくないくらい勢いよく立ち上がりました。
「くくくっ。Aランクおめでとう」
「ありがとうございます!」
「次はテラ」
「私ね♪ はい」
「そうか、ま、まあ良いだろう。Aランクおめでとう」
「ぬふふふ。これは通過点ね♪ 時期にSランクよ!」
テラ、どこの悪役かって顔も可愛いね、あっ、カードは僕が持っておくね。それからムルムルを引っ張り過ぎないでね。
「ははは。ではプシュケ」
「はい! よ、よろしくお願いいたします!」
「うむ。Aランクおめでとう」
「ありがとうごじゃいましゅ! 痛っ! 舌噛んじゃった~」
くふふ。噛んじゃいましたね、回復魔法です、ほいっと!
「くはははっ。気を付けるんだぞ。最後はリント」
「はいにゃ! 大魔法使いリントにゃ!」
「そ、そうか、······だ、大魔法使いリント、Aランクおめでとう」
「ありがとにゃ! にゃふふふ。キラキラにゃー!」
リントはテーブル上で立ち上がり、ちゃんと両手で受け取りました。それを大事に抱えていますが、僕が預かっておきますからね。
そして僕達は暫定、試験を終えるまでですが、Aランクになりました。
よし、まだ早い時間ですから早速準備してしまいましょう。
「これで終わりだが、受付でダンジョンカードをもらってから行くんだぞ、それを忘れるともう一度潜らないと、試験が終わらないからな」
「はい。さっそくこの後もらってきます」
そして受付に行き、ダンジョンカードの申請を済ませ、僕達は街へ買い出しに向かいました。
「ライ、お菓子が売ってますよ! はわわ~クッキーです。買っていかない?」
「おお! そう言えばお菓子は考えていませんでした。甘いものは必要ですからね、沢山買っていきましょう」
「ライ、お魚があるにゃ!」「こっちには卵が売ってますよ!」「ライ! この時期に冬用の服があるなら、寒い階層があるのね。買っておきなさい!」
屋台や露天を端から順に巡り歩きますどんどん買い物を続けている時、後ろを通った馬車からあの人攫いに捕まった時の、臭い匂いがしました。
「あれ、この匂いは······テラ、今の馬車から――」
「任せて。
「うん。行くよプシュケ、リント!」
僕達は手に持っていた商品を露店の絨毯の上に戻し、細い路地に入ると、背負子と透明になる魔道具、それと気配を隠す魔道具を装備して、プシュケがリントをマントの下に抱えて背負子にのり体をロープで縛ると一気に僕は屋根の上に飛び上がり、屋根伝いに、大通りを進む馬車を追いかけました。
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