第17話 ハイ&ロー
ハイ&ローは極めてシンプルなゲームだ。
親は自分の山札から一枚取りだしてきて表向きにしてテーブルの中央に置く。
子は自分の山札から同じく一枚取りだしてきて裏向きに伏せる。親のカードより数字が上ならハイ、下ならローと予測してオープン。
予想が的中なら子の勝ち。スタンダードなら出されたカードを取ることができるが、1回こっきりのターン制の勝負である。負ければその時点で終了。
勝てば攻守が逆転して子のターンになった相手が同様に予想する。
ちなみに数字の強い順は2→K→Aと前もって取り決めてある。
「おまえからだ」
コルブッチは自分の山札から一枚ひいてきて表向きにして場に置いた。
「むっ……」
いきなり♤のエースがでた。これ以上ない強い数字である。
クロエも自分の山札から一枚ひいてきた。
「ロー」
「当然だ」
むすっとした声で老人はクロエのひいてきたカードを見もせず片づける。
今度はコルブッチの番だ。
親のクロエがひいてきたカードは♡の7。
微妙な数字だ。
コルブッチは裏向きのカードをそれに並べ唸った。
「むっ……ぐ……」
ハイ&ローではほぼ負けなしと豪語したコルブッチだが、いつもの勘が冴えてこない。まるで頭のなかに霞がかかったようだ。
「早くしてよ。ここに泊まる気はないから」
クロエがプレッシャーをかける。
「うるさい! ハイだ!」
そういうと老人は節くれ立った手を伸ばし勢いよくカードをめくった。
第18話につづく
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