52.薄い関係性

「……そういえば、ラムフェグの再来を知らせてくれたのは、クーリアだったな?」

「え? ええ、そうですよ。当然といえば、当然なのかもしれませんが、フレイグ様はクーリアのことも知っているんですよね?」

「ああ、もちろんだ」


 私の言葉に、フレイグ様はゆっくりと頷いた。

 よく考えてみれば、クーリアとフレイグ様の関係性は謎である。

 ラフードの同胞というくらいだから、何かしらの関係性はあるのだろうが、一体どういうものなのだろうか。


「フレイグ様は、クーリアとはどのような関係なんですか?」

「どのような関係か……そう聞かれると返答に困るな」

「困る?」

「俺とクーリアには、直接的な関係がある訳ではない。俺は彼女のことをラフードの同胞と思っているし、向こうも大方そんな認識をしているだろう」

『そうですね……フレイグのことは色々と聞いていますが、端的に言い表すとしたら、ラフードの友達という表現が正しいでしょうか』


 どうやら、二人はあまり関係性があるという訳ではないようだ。

 兄弟の妹か姉、兄か弟の友達、お互いにそのような認識であるらしい。


「要するに、二人はラフードを介して繋がっているということでしょうか?」

「ああ、そういうことになるな……」

『その認識で、間違っていないと思います』


 私の言葉に、フレイグ様とクーリアはゆっくりと頷いた。

 関係性はないというが、こういう所は息が合っている。二人とも冷静な性格なので、そういう所は馬が合うのだろうか。


「ただ、クーリアに関して、俺は頼りになる魔族だと思っている。冷静沈着な奴だからな……」

『私も、フレイグのことは頼りになると思っていますよ』


 薄い関係性ながらも、二人は互いを尊敬できる存在だと思っているようだ。つまり、いい関係を築けているということなのだろう。


「どうやら、お二人はお互いに同じことを思っているようですね」

「クーリアがそう言っていたのか?」

「ええ、実はそうなんです」


 フレイグ様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。

 それに対して、彼は笑っている。少なからず、嬉しい気持ちがあるということだろう。


『こうやって、こちら側のことを知らせてもらえるというのは、なんだか嬉しいですね……』

『ああ、それは確かにそうだな……』


 クーリアとラフードは、そのような会話を交わしていた。

 やはり、こちら側の人間と会話できるということは、二人にとっても嬉しいことであるようだ。

 同胞がいるとはいえ、精霊という状態にはある程度の孤独感があるものなのだろう。

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