39.魔族の王族達
私は、フレイグ様との散策を終えて、自室に戻って来ていた。
そこには、私の他に二人の人がいる。いや、人というのは正しくないかもしれない。なぜなら、二人は魔族だからだ。
「えっと……それで、その、クーリアさんは、何者なの?」
『まあ、その説明が必要だよな……』
とりあえず、私はラフードとクーリアさんに事情を説明してもらうことにした。
彼女が、一体何者なのか。なんとなくはわかるが、詳しいことが聞きたい所だ。
『……本当に、あなたは私が見えているのですね。驚きです』
「あ、はい。見えています」
最初に、クーリアさんはそのように切り出してきた。
どうやら、彼女は私が自分のことを見えているという事実に驚いているようだ。
そういえば、ラフードも最初はそのことに驚いていた。普通の人には認識されないので、やはりそれはそういう反応になるのだろう。
『すみません。話がそれてしまいましたね……まずは、私の自己紹介をするべきでした』
「あ、いえ、気にしないでください」
『ありがとうございます。えっと、私の説明をする前に一つお聞きしたいのですが、あなたはラフードのことをどこまで聞いていますか?』
「えっと……魔族の王子だったと聞いています」
『そうですか。それなら、話は早いですね。私は、魔族の王女です』
「え?」
クーリアさんの言葉に、私は思わず驚いてしまった。
魔族の王女。それを聞いて、私はラフードの方を見る。
彼は、魔族の王子だ。ということは、クーリアさんは彼の姉か妹ということになるのだろうか。
その割には、二人は似ていない。人魚と狼、その姿からは血の繋がりというものが、いまいち伝わってこない。
『まあ、俺達は兄弟だな。どっちが上か下かは、あまりわからないんだが……』
「双子ということ?」
『説明が難しいな……なんというか、俺達は特別な出自なんだ。魔族の王……まあ、俺達からすれば、父親のような奴の細胞から作られた生命体というか……』
『私達は、人工的に作られた王族なのです。魔族の中でも、有力な力を持つとされる者の細胞と魔族の王の細胞を組み合わせて作られた。それが、私達が誕生した経緯です』
二人の説明に、私は言葉を失っていた。
どうやら、思っていた以上に魔族の事情というものは複雑であるらしい。
人工的に王族を作る。そこに至るまでに何があったかはわからない。
だが、何か根深いものがあることは確かだろう。それを考えて、私は思わず絶句してしまうのだった。
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