WWⅡでドイツが勝利し、米国との代理戦争に突入した世界──
(本作品はフィクションであり、特定のイデオロギー・国家等を支持する意図は一切ありません)
第二次世界大戦でドイツは英仏・ソ連に勝利し、日本を降伏させたアメリカとの冷戦状態に移行した。アフリカ大陸にはドイツ植民地である国家弁務官区が設置されたが、大陸南端には唯一の民主主義国家、南アフリカ共和国(南ア)が生き残っており、アメリカの軍事支援を受ける南アと国家弁務官区の間でもまた、冷戦状態が続いていた。
ドイツは宇宙開発競争でもリードしており、有人月面探査の成功後に有人火星探査計画を打ち出し、赤道に近い中部アフリカ、すなわち国家弁務官区に建設した宇宙基地を拠点に計画を進めていた。一方、国家弁務官区内部では人種政策によって多数の黒人が非人道的な扱いを受けており、少数の白人が多数の黒人を支配する歪な支配体制は、皮肉にもアパルトヘイト体制を敷く南アと酷似したものであった。
南ア軍の下士官である「私」は、相棒のマクミラン伍長と共に国境沿いの前哨基地に送られるが、基地を襲撃してきたドイツ兵たちと交戦し、撃退する。この戦闘をきっかけに南アと国家弁務官区、ひいてはアメリカとドイツの間での緊張状態が高まる「南アフリカ危機」が発生し──