Another Story1 緋彩の新たな知識
「――『男女の営み』って、何なんでしょうか」
自分の部屋に戻ってくると、私は一人そうつぶやきました。
彼方君が調べろと言っていたこの言葉。
ぎゅー、やキスのことなんでしょうか。
でも、それは男女限ったことではありません。
それに彼方君が私を押し倒した時のあの雰囲気は、そんな可愛い雰囲気ではありませんでした。
「っ――」
思い出すと、顔が熱くなってしまいます。
すぐ目の前にまで迫った彼方君の顔。
鋭い雰囲気が怖い気持ちも勿論ありましたが、それと同じくらいにドキドキしました。
間近に迫った彼方君の顔が私に一体何をするのか。
二ヶ月前にある男子に迫られた時はとても怖かったのに、彼方君だと高鳴る鼓動が止まらなくて、顔を直視出来ませんでした。
そして、私の耳に触れた彼方君の息。
とてもびっくりしたと同時に、少しだけ変な感じがしました。
くすぐったいのに、彼方君とのぎゅーみたいにどこかクセになってしまいそうで、思わず体が反応してしまって。
あれは一体何だったのでしょうか。
……考えていたらまた照れ臭くなってしまいました。
とにかく、今は彼方君に言われたことを調べることにしましょう。
ベッドに腰を下ろし、スマホの明かりをつけます。
検索エンジンを起動させて、『男女の営み』。
検索……と。
画面が切り替わって最初に目についたのはカタカナ四文字の単語でした。
ただそれだけではその単語が何を意味しているのか分からず、適当にスクロールしていきます。
すると今度はカタカナ四文字の単語の他に漢字三文字の単語も、って……。
「っ――!?」
思わずスマホを放り投げ、枕に顔を
そのまま羞恥から逃げるようにバタバタと足をばたつかせます。
漢字三文字の単語は、保険の授業で習ったことがあります。
ですが、あれは子供をつくるための行為のはず……。
「彼方君との……子供…………っ!?」
私は何を口に出してしまっているのですか!?
第一、私と彼方君は結婚も何もしていません。
付き合ってすらいないのです。
そんなのあり得ません。
……でも。
ゆっくりと枕から顔を上げて、再びスマホを手に取ります。
そうして『男女の営み』というものを調べているうちに何故か心がモヤモヤしたり、下腹部の辺りがムズムズしてきました。
「彼方君の……ばかっ」
その日はずっと彼方君のこととある行為のことが頭から離れず、なかなか寝付けませんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます