第28話 靴屋さん

「アリア、酒、酒を持ってこい!」


 その怒声で目が覚めた。


「どこ?、マックス?、酒って、まだ昼前かな?……」

 

 アリアは自分のベッドで?になっていた。


「嘘だよ。ワイン一杯でくでんくでんだよ。知ってるでしょ?仲直りしたいと思って…」


「仲直り?ケンカしたの?靴屋さん上手くいってないの?」


「そうだよ。何言ってるの?工場1号館が軌道にのったから2号館を作りたいってアリアに言ったらまだ早いって!」


「2号館?靴屋さん、成功したの?」


「おいおい、アリア、大丈夫か?どこから話せばいいんだよ」


「いや、上手くいってるのならいいの」


「やはり、皮製品から新素材のナイロン製の靴に切り替えたのがよかったね~」


「ふ~ん、よかったね」


「だいたい戦争中でもないのに強固な革靴なんて履く必要ないことに気づいたのがすごかったね~。あと靴底をクッションにしたのが成功の決めてになったな~」


「そう~、すごいね。なんかブランド名とかあるの?」


「え?!ブランド名?…あの…その…」


「いや、ないならいいの。そんな靴たくさんあるから……」


「『A』だよ。アリアの『A』」


「あら、私のAにしてくれたの?」


「……それまで鳴かず飛ばずの店がブランド名をアリア『A』に変えてから生産が追いつかなくなって工場を作った。今、1号館だけでは逼迫してきたので2号館を……でアリアとケンカしてるんだ。普通、ケンカ相手にケンカの理由言う?今ではアリア『A』のブランドはジダン王国の首都ジオンでは最高級品として通ってる」


「へ~~~マックス、すご~い」


「あんたね、何飲んだか知らないけど今のいままで寝てて、もう起きるよ!」


「え?!」


「赤ちゃんだよ。ユリアとポックス」


「え~~~赤ちゃん!!!!」


「双子だよ。アリア頑張ったもんね~」


「幸せすぎて死にそう」


「もう、1回死ね」


「あ~、うそでも死ねとかひどい」


「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー」


「止めてくれ」


「え?!わからない。どうしていいかわからないの!」


「また、いいよ。僕の番だ」


「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー」


「お~よし、よし。ウンチをしたね。沢山したね。交換しましょ。そうしましょ」


 あんなマックスを初めて見た。人って幸せだとこんなになるんだと思った。みんなが幸せならば犯罪や戦争はなくなるとはいえないが0に近づけるよ、絶対。そのためにも幸せにならないと。


「アリア、今度からその手にはのらんぞ。ユリアとポックスが証人だ」


「わかった。今度やるから教えてください」


「よし。教えてやる。2号館もいいね?」


「ダメ」

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