第51話 武装強化

「幻異武装の強化ですか…? 」


「ええ。 私たちマスター、そしてセインやデモンと同じように。 幻異武装もエネルギーを取り込むことで成長し、より高い性能を発揮してくれるわ」


「わたしたちが悪魔や天使との戦闘で強くなっていくのと同じなんですね…」


「そうね」


「ゆくゆくは新しい武具に乗り換えるとしても、今の武具を鍛えておけばそれだけ異界域での活動も楽になるわ」


「少しでも生存率を上げるためにも、装備の強化は怠らないようにしないとね」


 私とアイが身に着けている幻異武装は叢雲が用意してくれた物で、これといった特徴はない凡庸な武具らしいけど。


 そのぶん、強化に必要な素材も異界域でよく手に入るアイテムみたいだからこの間の任務でゲットしたものだけでもかなりのパワーアップが期待出来るみたい。


 異界域から持ち帰った物資は大きさなどに関わらず一度学園の鑑定班に預ける決まりになっていて。


 スミマル第二で回収した物資の鑑定が昨日やっと終わったから、今日の授業で私たちの幻異武装を使って武具の強化法やカスタマイズの仕方を教えてもらえることになったんだ。


「幻異武装の強化には、元からある性能を引き上げる上質化と。 武具に新しい性能を追加する拡張の二種類があるわ」


「上質化は私たちが、幻異結晶を砕いたり倒した天使や悪魔のエネルギーを吸収することでマスターとしての力が増していくように。 武具に相性が良い素材を与えたり、武具が好む敵を倒すことでエネルギーが吸収されていき性能が向上していくわ」


「武具が好む敵…ですか? 」


「好むというのは言葉のあやだけど。 幻異武装は特定の敵からしかエネルギーを吸収できないことが多いのよ。 これってなんだか好き嫌いみたいでしょ? 」


「たしかに…! 食べ物の好き嫌いみたいで、ちょっと面白いかも」


「ふふっ、そうでしょ」


「幻異武装には素材を組み合わせて作る工房品クラフトスタイルと、天使や悪魔を倒した際に稀に手に入る天然品オリジナルスタイルがあるのだけれど。 所謂、オリジナルと呼ばれる幻異武装ほど好き嫌いが多い代わりに、天使や悪魔の力を一部受け継いでる場合もあって上手く使いこなせれば強力な武器になるわね」


「私たちが今身に着けているのはクラフトスタイルの武具ですよね? 」


「そうね。 クラフトスタイルの武具は相性が良い素材も多いから強化しやすいというメリットがあるわ」


「それに、もう一つの強化法である拡張の幅も広いわよ」


「たしか、武具に新しい性質を追加出来るってやつですよね? 」


「ええ。 性質を追加するのに必要な素材は、幻異武装と違って天使や悪魔を倒した時にほぼ確実に手に入るから。 異界域を攻略した後は武具のカスタマイズが捗るわよ」


 私は最初、天使や悪魔を倒した時に手に入るアイテムや異界域で拾った物資は盟友界に転送されているというのを知らなくて。


 攻略任務が終わった後に、エデンからアイテムや物資を手渡されて「いつの間にこんなに集めてたの!? 」って驚いちゃった。


「それじゃあまずは、武具の上質化からはじめて。 その後に、二人の好みに合わせてカスタマイズをしていきましょうか」


「はいっ! 」


「了解です…! 」


 明日からは幻異武装を使った戦い方も教えてもらえるみたいだし、しっかり装備を整えておかなくちゃ!

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