三章 爽山サバイバル
第50話 イタズラ娘
「ぶにゃ~」
「■■ゥゥ」
(どうした、メアリー。 そんな浮かない顔して)
「力が…力が欲しいのにゃ…! 」
「■■、ァ■…」
(お、おう…。 そうか…)
「あにゃしがこんなに悩んでるのに、そうか…じゃないのにゃ! エデンは薄情者にゃっ」
「■■ゥゥ」
(そうは言ってもな…。 あまり悩まなくても、俺たちはマスターと契約したデモンなんだから。 これから戦いを続けていけば、強くなっていくわけだし)
「うにゃ~! そんなことはわかってるのにゃ! でもにゃ、いつの間にか同期のティアは急成長してるし、このままじゃあにゃしだけ置いてきぼりにゃ…」
(あー、そういうことか…)
スミマル第二の攻略において、楔の主討伐戦に参加していたティアはたしかにあの日大幅にレベルアップしていた。
ゲームでもそうだったが、異界域での戦闘においてボスである楔の主とそれ以外の天使や悪魔とでは討伐でもらえる経験値の量が段違いなのでメアリーとティアの間で成長の度合いに差が出来てしまったのだろう。
そもそも、ティアとメアリーではレベルアップの意味合いが異なる。
ティアはレベルアップで成長するのに対し、メアリーはレベルアップで元の力を取り戻していくのだ。
(まあ主人公の最初のパートナーなわけだし、設定も特別仕様だよな)
「ティアは使えるスキルも増えたのに…ううう…」
「■■ゥゥ、■ァ」
(まあ…そんなに落ち込まなくても―― )
バシャッ。
「うにゃぁっ!? 」
しょげるメアリーを慰めていると。
突然、メアリーの顔がびしょ濡れになった。
「あぅあ~♪ 」
「にゃ~! いきなりにゃにするのにゃ! 」
「うぅう~♪ 」
「この~! イタズラはやめるのにゃ~!! 」
(ははは…やっぱり今日も来たか)
新たにウォーターボムというスキルを習得してからというもの。
ティアはそのスキルを応用して、相手の頭上から水をぶっかけるというイタズラにハマってしまったのだ。
これまでもメアリーやリリーナ、ロザリアにアロメなど遊びに来た数々のデモンやセインが水濡れの被害にあっており。
その度にティアは、何故か俺の陰に隠れてやり過ごそうとするのでイタズラの後処理もとい、ずぶ濡れになった面子を宥めるのに毎回苦労させられている。
(そういえば…ティアのやつ、俺にはイタズラをしかけてこないな…)
被害にあうのは毎回俺と話している相手であり、俺自身が被害を受けたことはない。
異界域の攻略後、顔を見せるようになったジャックも水濡れの被害を受けていないのでもしかしたら何か法則のようなものがあるのかもしれない。
「あぅう~」
「■■、■ゥゥ…! 」
(こ、こら…! 俺の背中によじ登るんじゃねぇ…! )
「あ~! またエデンに庇ってもらう気なのにゃ! ずるいにゃ! 降りてくるのにゃ! 」
「うぁぅ~♪ 」
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