第57話
「私…フレッド様なら…何をされてもいい…」
潤む瞳でフレッドを見つめた。
フレッドは無表情でレミリアを見つめる。
ふふ…私の魅了に落ちたかしら…
レミリアはそのままフレッドの胸板に頭をコツンと付けた。
「あなたの気持ちはわかった。だが今ここにいるのはよくないすぐにあの部屋に戻るんだ…ロレッタに会わせてあげよう」
「フレッド様!!ありがとうございます。私…いい子に待ってます」
「あっ!居た!あなた何故ここに!」
するとレミリアを案内していたメイドが凄まじい表情でレミリアを探していた用でこちらにドスドスと歩いてくる。
「あっ…ではフレッド様…また会いましょう」
レミリアはメイドの方に駆け寄ると…
「すみません!足が早くて見失ってしまって…戻る部屋を探していたんです…」
レミリアの言い訳にメイドは呆れてため息を付くが何も言わずに部屋へと戻すことにした。
フレッドは連れていかれるレミリアをじっと見つめていた。
レミリアが見なくなるとフレッドは押し当てられた手をハンカチを取り出し丹念に拭く。
「最悪だ…早くロレッタに会いたい」
女性に迫られてこんなにも気分が悪くなることなど初めてだった。
「あっ!フレッド様こちらにいたんですか!」
するとシドがフレッドを見つけて駆けつける。
「おい、あの女がここに来たぞ」
ジロリとシドを睨みつける。
「あの女とは、レミリアさんの事ですか?」
フレッドが不快そうに頷いた。名前を聞くのも嫌そうに…
「あー、花摘みに行くって言って王子に会いに行ったんですか…それでなんと?」
シドは気にすることなく話を聞く。
「お前…わざと泳がせたのか?」
「いえいえ、そんな事ありませんよ。まぁちょっとどうなるかなーとは思いましたが、でもあの人達ここから出ていく気無いみたいですからね」
「はぁ…本当にロレッタの妹なのか?なにかの間違いとしか思えない。あんなにも姉妹で違うものになるとは…」
フレッドは信じられないと頭を押さえた。
「どうします?もう強制送還で無くて処分しますか?」
「それなんだがな…ロレッタに会わせようかと思っている」
「は?あんなに会わせるの反対してたのに?」
「あの手の女は一度自分の立場をわからせてやらないと同じ事を何度でもしそうだ…それにそのまま放置してまたロレッタに被害が及ばないとも限らないきっちり落とし前をつけさせたい…」
フレッドの表情には怒りが湧いていた。
「ジョージさんはどうしますか?」
「あれもついでに鼻っ柱を折ってやろう。自分がいかに滑稽か…」
ふっと笑うが次にはその顔に陰りが見える。
「どうされました?」
「だがその前にロレッタと話さなくては…」
先程の自信ある表情は消えて少し不安げにフレッドは王宮へと戻って行った。
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