4 担がれて
しみる。
斎は思わず左手で払うが空振りした。力なく手を降ろす。
「斎、大丈夫ですか?」
この声、間違えるはずがない。斎はゆっくり目を開けるが相変わらず視界はぼんやりしたままだった。
「か、なめ?」
再び、左目がしみて顔を顰める。
「よく、生きていましたね」
〈人外〉は滅多なことがないと死なない。それに回復もすさまじく早いので、大抵の怪我は治る。だが、斎は怪我を負いすぎた。普通ならすぐに治るはずの怪我からの回復にかなり時間がかかっている。
要目はそう言って斎の口周りの血をハンカチで拭う。
「血は止まっています。立てますか?」
そう言われて斎は上半身を起こそうとするが、体が思い通りに動かずまた倒れた。
「無理そうですね……」
要目は斎の手首を掴むと軽々と肩に担いだ。その華奢な体のどこにそんな力があるのか。要目は斎を担ぎながら軽やかに歩き始める。だが重心の問題か、時折バランスを崩しそうになった。
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