作者 藤田桜

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★★★ Excellent!!!

 思春期の少女ふたりの、単なる友情以上の関係性を描いたいくつかの物語。

 いわゆる百合を題材とした、オムニバス形式の掌編集です。
 各話ごとに登場人物が入れ替わり、内容自体はそれぞれ独立しているものの、共通したテーマやモチーフの元に描かれたお話。

 例えば、どのお話もただ幸せな恋物語というわけでなく、病などの苦難を孕んでいるところなど。
 不安やすれ違い、または重すぎる一方的な重いであったりと、甘いだけでない(むしろ苦い部分の方が多い)お話であるところが特徴的です。

 実は最終話だけ少し特別なのですけれど、それは是非直接その目で確かめてみてください。
 重苦しくも切ない恋の物語でした。

★★★ Excellent!!!

物語に理由をつけるのは、何もしないことよりも、ひどく単純で簡単だ。
だからこそ、空白を作ることの方が、純粋で難しいのかもしれない。
この作品には、タイトルがない。
だから、誰の意見に惑わされることなく、自分の言葉を入れてほしい。
これは、単なる邪推かもしれない。
しかし、これもまた、真実。

『 』