第11話 このなかにヤンデレが!
ロロが死んだ!
いや、殺されたんだ。
しかも、この寝室に入るためには、みんなが
てかさ。あれだけのことをされてるのに、なんの音もしなかったとは思えない。同じ部屋にいたおれが目をさまさなかったのは、たぶん、睡眠薬を飲まされてたからだ。
つまり、ロロの食事にも同じ薬が入れられてた可能性がある。だからこそ、寝込みを急に襲われたんだ。
ということは……だ。
おれのホールダーのなかに、ロロを殺した犯人がいる。
「くそッ! 誰だよ。ロロ殺したやつ、出てこい!」
リビングにかけこむと、みんな思い思いのカッコで寝てる。ほんとに寝てるのか、寝たふりなのかまではわからない。おれの怒鳴り声を聞いて、何人か起きてきた。
「どうしたの? 玲音」
最初に目をさましたのは沙織だ。沙織は前に嘘ついてたからな。完全に信用することはできない。じゃあ、誰なら信用できるかって言われたら、ちょっとそれもわかんない。みんな、ひとくせありそうだ。
けど、体力的な問題で、たぶん、リタではないだろう。いくら薬飲まされてたからって、ロロのあのやられかたは、彼女より力のあるやつ、または複数人での犯行だ。
だって、傷が顔と腹だ。どっちも急所じゃない。たぶん、失血死っての? 血が流れすぎて死ぬやつ。死因はあれ。
ママが二時間サスペンス好きなんで、小学のころよくいっしょに見させられてたからな。ミステリーは得意だぜ!
「ふわぁ。なんだよ? なんかあったのかよ?」
「さわがしいですわね。寝られませんことよ」
「リタ、おしっこ行くでしゅ」
このさわぎのなかでも、九尾はまだ起きてこない。百合と水城がやや遅れて目をさます。
「おまえらのなかに、ロザリーを殺したやつがいる」
おれが指をつきつけると、みんなシンと静まりかえって、おたがいの顔を見あわせる。そのあと、紅葉は笑いだした。
「やだぜ。夜中に変なジョーク言うなよな。おれ、寝る」
「ジョークじゃない! 見てみろ!」
みんなで寝室にゾロゾロ入っていくと、やっぱり、ロロの死体はそこにあった。
なんかこう、もっと大さわぎするかと思ったのに、やけに静か。みんな緊張したおももちで、上目づかいにうかがいあってる。
「誰だよ?」
「僕じゃない」
「わたくしもこんな下品なこといたしませんわ」
「やーん。百合、めまいが……」
「クマちゃん。怖いでしゅよ」
ヒソヒソ声で言いかわしてる。なんとなく、こんな事態になることを予測してたような反応だ。
そう言えば、沙織が忠告してたんだっけか。
要するに、だいぶ前から、誰かがヤキモチで暴挙をやらかしてもおかしくない空気だったんだな。おれだけが、それに気づいてなかった……。
「誰がやった? 正直に言ってみろ」
たずねても、みんな首をふる。まあ、言うわけないよな。
「なら、夜中に誰かが変な行動してるの見なかったか?」
それにも首をふる。
とてつもなく非協力的だ。口には出さないけど、みんな、ロロが死んで喜んでるふしがある。誰も本気で心配してないし、悲しんでもない。
クソッ。こうなりゃ自分で犯人をつきとめるしかないのか?
可愛いロロ。おれの女神が、あんな残忍な殺されかたしたんだ。犯人は絶対ゆるさん!
おれがロロばっかり可愛がるから殺されたんだよな?
ということは、とくに怪しいのは、まだおれと一回もラブラブしてない子だ。
となると、百合とリタか。
リタは前述のとおり、筋力的に不可能。それにガキだしな。あたちもみんなみたいにエッチちたいでしゅ、とは言わないだろう。
おれはじっと、百合の顔を見た。まあ、顔じたいはみんなと同じなんだが、分裂の瞬間を見たせいで、やっぱりいまだに苦手だ。百合自身も、おれに嫌われたこと、感じてたんじゃないか?
「……百合、おまえか? おまえがロザリーを殺したのか?」
「ええー? なんで、あたしが? ヒドイよぉ、レオンくん」
百合はメソメソ泣きだした。たしかに服や体は汚れてない。あれだけのことをしたんなら、返り血をあびてるはず。
けど、血の匂いにまじって、ほんのりシャンプーの香りがただよってるんだよな。
夜中にシャワーをあびたんじゃ?
コイツ……やっぱ、怪しい。
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